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金庫株制度の活用 |
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金庫株制度の活用
@自己株式取得の制限が大幅緩和
現在では、巨大な上場会社から中小同族会社まで、株主総会決議があればすべての会社に自己株式の取得が認められています。取得の目的を問わずに、また、期間・数量に関係なく、取得し保有し続ける(金庫に保管する)ことができるため、一般的に「金庫株」と呼ばれます。 金庫株は、取締役会の決議により消却したり、会社分割など企業再編の際に発行する新株に代えてその自己株式を交付したり、第三者に売却処分をしたりと、さまざまな手法に活用できます。
A相続・事業承継対策としての注意点
イ) 相続税の納税資金には、税制上の優遇措置がある
同族会社のオーナーに相続が発生すると、相続人は同族株式に課された相続税の納税資金に苦慮するところです。そこで、相続人が相続した同族株式を発行会社に買い取ってもらうことにより、相続税の納税資金を調達しているケースが時々見受けられます。
通常、個人株主が所有している自社株を、金庫株制度を利用して、買い取ってもらった場合、資本等の金額を超える部分の金額は「みなし配当」となり、総合課税で課税されます。
ところが、相続により取得した自社株に限っては、みなし配当課税ではなく、譲渡代金に対する「譲渡所得課税」となりますので、譲渡利益(払戻金額−取得価額)に対し一律20%(所得税15%・住民税5%)の税率で課税されます。さらに「相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の取得費加算の特例」の適用が可能となりますので、相続税の申告期限から3年以内に、相続により取得した自社株を金庫株として買い取ってもらう方法は、有利に納税資金が確保できる有効策といえます。
ロ)分散した自己株式の事前買取り
会社の創業期には資本や株主を集めるために、子供たちや他の親族、友人などに自社株を分散しがちです。しかしながら、次世代へのバトンタッチを考えるならば、後継者のために株式の所有関係を整理しておき、後継者へ自社株を集中しなければなりません。
オーナーが健全なうちに自己株式を会社で買い取ることによって、後継者に将来の揉め事を残さないようにしておくことが必要です。また、古参従業員に持たせている自社株についても同様です。退職時にトラブルにならないように、きちんと整理しておきましょう。
ハ)別会社に売却し、その後金庫株を取得する時は要注意
自社株を金庫株として直接買い取ってもらうのは、相続取得以外はみなし配当となり総合課税されますので、多額になる場合は得策ではありません。持株会社等の別会社に自社株を売却する手法が税金対策も兼ねるのならよいでしょう。ただし、非上場株式ですので買い取った会社に資金能力がない場合には、株式買取後に、その買い取った株を金庫株として発行会社に買い取ってもらうことも想定できます。
しかし、この方法は、金庫株として売却したときに、その会社では株式の売却価額のうち発行会社の資本等の金額に対応する部分を超える金額が、みなし配当として益金不算入となります。また、その配当とみなされた金額は株式の譲渡収入から控除されますので、株式の譲渡損失が損金計上されることになります。
このような結果をもたらす手法(いったん持株会社を経由して金庫株を活用する手法)は税務否認のリスクも予想されます。別会社が保有し続けると資金繰りに困り、すぐに発行会社に買い取ってもらう事態が予想されるなら、避けた方がよいでしょう。
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