7月末からニュースになっている年間650万円がもらえる研究開発型ベンチャー支援事業ですが、いろんな情報が飛び交っているのでまとめてみました。
1.研究開発型ベンチャー支援事業ってなに?
制度概要
そもそも、こちらの研究開発型ベンチャー支援事業は政府の日本最高戦略の一環で、『大企業や研究機関に眠る技術、アイディア、資金、人材、地域に眠る事業や資源を最大限に活用し、ベンチャーや新事業を生み出す仕組みを整備する。』ことを目的としています。日本の新規産業・雇用の創出による日本の経済活性化に向け、ビジネスリスクを取って自ら新事業に挑戦する起業家候補の個人もしくはチームに対し経営・事業化のサポートなどを支援・強化し、起業を促進しましょうという事業です。
事業の内容
新しいサービスや商品を生み出す技術や発明を活用した事業構想を有する起業家候補をNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)で公募します。採択された起業家候補は、NEDOが委嘱する事業化支援人材が行う各種起業活動支援を受けて、事業化活動を実施するというものです。
支援事業に採択をされると、採択をされた起業家候補は2年間を限度に以下の支援を受けることができます。
- 事業化支援人材に契約社員として雇用され、年間上限650万円/人の労務費の支給 ※1チーム3人まで
- 活動費として年間上限1,500万円の支給
- 事業化支援人材による事業化支援(外部人材とのマッチングも含む)
- NEDO川崎本部のコワーキングスペースの使用が可能
2.どんな人・研究開発内容が対象なの?
主な条件は以下のとおり
- 新しいサービスや商品を生み出す技術や発明を活用し、それに基づく事業構想のもと、研究開発型ベンチャーを立ち上げようとしている、もしくは研究開発型ベンチャーとしての事業活動開始・資金調達を目指している者(既に事業活動をしている場合は対象外)
- 採択決定後、3か月以内に、事業化支援人材に契約社員として雇用されることが可能であること(現に特定の法人と雇用契約を結んでいても、研究開発型ベンチャー支援事業への参加の承認を得られた場合は、現状の雇用契約を継続したまま事業化支援人材と雇用契約を締結することが可能です)
- チームで応募する場合は、チームの構成員の責任や役割の分担が明確であり、かつその存在がチームに不可欠であること
- 公募採択までに、日本国内に居住している、もしくは居住する予定である者
他にも、次の範囲の技術や発明であることも条件です
- 鉱工業技術(原子力に係るものを除く)であること
- 新しいサービスや商品を生み出す技術や発明であって、研究開発要素があることが想定されること(例えば、スマートフォンのアプリ開発のためのソフトウェアのコーディングなど、技術的要素が薄いものや、既存製品(購入品)を利用しただけのものについては対象外)
- 競争力強化の為のイノベーションを創出しうるものであること
さらに、原則的には応募までに200万円以上の出資をしていただける資金出資者を集め「出資に係る意向確認書」を得る必要があります。但し、申請時点で200万円以上の出資をしていただける資金出資者を集めることが出来ていない場合応募することは可能で、採択後6カ月以内に200万円以上の出資をしていただける資金出資者を集めて「出資に係る意向確認書」を得る必要があります。
3.応募までの流れは?
応募に必要な書類は提案書とその添付書類です。
提案書:表紙、要約版、本文、起業家候補者(代表提案書及び共同提案者)の経歴書により構成
添付書類:①出資に係る意向確認書②出資者の経験・支援実績・今後の方針及び過去3年分の財務諸表(法人の場合のみ)③代表提案書及び共同提案者が現在雇用関係を締結している又は経営者として参画しているすべての企業・法人に関する概要資料④提案者が外国籍の場合は、日本での在留期間が2年以上あり、かつ国内での就労制限がないことを証明できる書類
応募後は3段階の審査を受けることになります。
- 外部専門家等による提出資料に基づいた一次審査
- 外部専門家等によるビジネスプランプレゼンテーション審査及び個別面談による二次審査
- NEDO内の契約・助成審査委員会による審査
採択の審査基準も定められています。
- 本事業の趣旨並びに応募の要件及び技術の要件に関する審査
- 技術評価
- 事業性評価
- 人物評価
最終的に、採択結果の公表等はNEDO内ホームページで行われます。
4.採択されたらどんな流れなの?
まず採択時に出資に係る意向確認書を得ることが出来ているかどうかで、採択後の流れが変わります。
a.出資に係る意向確認書を得ることが出来ている場合
⇒採択後3か月以内に事業化支援人材と雇用契約を締結し、全支援が開始
b.出資に係る意向確認書を得ることが出来ていない場合
⇒事業化支援人材による指導の下、ベンチャーキャピタル等から200万円以上の少額出資を得る活動を行い、出資に係る意向確認書を得てから3か月以内に事業化支援人材と雇用契約を締結し、全支援が開始
全支援開始後は上記のどちらの場合でも同じ流れになります。
- 事業化支援人材に所属の研究型開発ベンチャーを起業(外部のリソースとのマッチングも図ります)
- 採択から1年後に、活動継続の可否を審査する目的で、現状の活動内容をプレゼンテーション等により報告するステージゲート審査を受ける
- デモデイへ参加し、出資者等とのマッチングを行う
- 採択後2年で研究開発型ベンチャー支援事業が終了
- 研究開発型ベンチャー支援事業終了後5年間は、研究開発型ベンチャー支援事業を活用した事業活動につきNEDOに報告するとともに、収益が生じた場合は、その一定割合をNEDOに納付
5.まとめ
今回の研究開発型ベンチャーに該当する方は少ないかもしれませんが、創業時にはなかなか自社にて研究開発を行うという余裕がないことが多いので、新技術や新発明があるけど、これって事業になるんじゃない!?っていう人は是非ご活用してください!!
既に全国での制度説明会も開催されており、公募締切も8月18日正午必着と目の前に迫って来ています。
詳しくはNEDOのホームページへ!!
このような制度をきっかけに、より多くの方が創業して日本経済が明るくなっていくといいですね。
今回の記事は、Firststepの中谷が担当いたしました。