今回は、会社設立時にうっかりテキトーに決めてしまいそうな「決算期」についてです!

当ブログで、資本金事業目的出資割合と会社設立時の重要ポイントをご紹介してきましたが、

「決算期」は、しっかり考えて設定することで節税効果が期待できます!

「決算期を決める」ということは、「いつからいつまでを1事業年度と定める」ということですので、「会社の決算をいつにするか」を決めることです。

担当は、FirstStepの居村です 😆

 

 calendar-2014-thumbs-up< 目 次 >

1.決算期は自由に決められるよ

2.決算期は変更できるよ

3.売上の波を考えよう

4.消費税の免税期間を考えよう

 

 

1.決算期は自由に決められるよ

例えば、会社を平成25年8月5日設立したとしましょう。
この日から第1期目の事業年度がスタートしたことになります。

ゴールすなわち決算日は、必ずしも1年後でなくてもいいのです。
ただ、1年を超える期間を定めることはできません。
また、1年=1事業年度ではなく、1年を2以上の事業年度に分けることも可能です。

さらに、3月決算でなくてもいいんです。
上場企業では、3月決算が多いイメージですが、決められているわけではありません。

8月5日に設立した場合、最長1年後の8月4日を決算日にできます。
毎期8月5日~8月4日決算日の事業年度となります。

実際は、キリがいい7月31日を決算日とし、かつ、1年=1事業年度とする方が多く、
1期目は、8月5日~7月31日、
2期目以降は、8月1日~7月31日とされる場合が多いです。

2.決算期は変更できるよ

事業年度は、会社設立時に定款に記載し、公証役場というところで認証を受けます。

会社設立後には、税務署に届を提出し、報告しなければいけません。

しかし、定款を変更し、税務署に届を提出することで、決算期を変更することができます。

ただ、この場合も1年を超えてはいけません。
また、決算・申告する必要もあります。

後述しますが、売上の変動や、消費税の免税期間との関係で、
会社設立時に決定した決算月を変更した方が節税効果を得られることがあります。

例)平成25年8月5日 会社設立

設立時:第1期 決算月7月(申告期限9月)とします。しかし、
決算月を変更しよう!となったとします。決算月を4月にすることになりました。
変更後:第1期 決算月4月(申告期限6月)となります。

事業期間は、設立時は8月5日~7月31日までの12ヶ月でしたが、
8月5日~4月30日までの9ヶ月間になります。
第2期以降 毎期5月1日~4月30日まで(申告期限6月)となります。

 決算期変更の図

3.売上の波を考えよう

 ■売上の上がる月を決算月(期末)にしない

売上に季節変動がある業種の場合、売上が上がる月は、期末を避ける又は期首にすることをオススメします。

なぜなら、売上が上がる月は、利益の予測が立てにくい、すなわち、節税対策が打ちづらくなります。

例えば、期首の業績が良かった場合、決算までに期間がありますので節税対策ができます。
逆に、期末に売上が増える予定で早めに節税対策を行った場合、予想を下回ったりすれば、
節税対策をしたために赤字になってしまったということになりかねません。

このようなことがないよう、売上の上がる月と決算月をずらすことをオススメします。

■キャッシュが不足する月は避ける

決算日から2カ月後が決算申告の期限で、かつ、法人税・消費税などの納付期限です。
通常よりも多くのキャッシュ(現金・預金)が必要です。

資金繰りの事を考えると、申告期限の月(=納税期限の月)は、その他の大きな支出が発生する時期(※1)や、売上の入金が少ない時期(※2)を避けた方がいいでしょう。

※1例えば
・賞与の支払月・・・・夏、冬
・源泉所得税の納付月・・・1月、7月(納期の特例を受けている場合)
・労働保険の申告月・・・7月
※2例えば
現金商売ではなく掛で商売されている場合

 ■繁忙期を避ける

決算日から2ヶ月以内に、税務署へ申告し、税金を納めます。

決算月~申告月にかけては、
・商品の棚卸し
・銀行残高証明書の取り寄せ
・申告書、科目内訳明細の作成
など、決算業務が必要となります。

決算業務に手を取られ、本業に影響を及ぼすことがないように、繁忙期と決算月~申告月は重ならない方が望ましいでしょう。

4.消費税の免税期間を考えよう

設立時の資本金が1,000万円未満の場合、第1期目は、消費税の免税事業者(消費税を納める義務がない事業者)となります。

この期間が最長となるような事業年度(例えば8月設立の場合、7月を決算月)ですと、この免税の恩恵を最大に受けることができます。

第2期目以降は、前事業年度(第2期目に対しては第1期目)の開始の日から6ヶ月間(特定期間と言います)の課税売上高かつ給与支払額が1,000万円超の場合、課税事業者となります。

↓ 詳細についてはコチラ ↓
弊社ブログ 「消費税の免税期間が短くなる!気になる消費税の税制改正」
国税庁HP 
「新たに設立した法人等の特定期間」

第3期目以降は、基準期間(前々事業年度、第3期目に対しては第1期目)の課税売上高が1,000万円を超えた場合も課税事業者となります。

■決算月変更を活用して消費税を節税!

課税売上高1,000万円というのは年換算です。ここで決算月変更を活用します!

例えば
第1期目 平成25年8月~4月(9ヶ月間)売上 740万円
            5月売上 120万円
            6月売上 120万円
            7月売上 120万円          の場合

決算月を変更しないと第1期目の売上は

740万円+120万円+120万円+120万円=1,100万円>1,000万円

となり、第3期目(平成27年8月~)は課税事業者となり、消費税がかかります。

しかし、決算月を変更して、7月決算を4月決算にすると

740万円÷9か月×12ヶ月(年換算)=9,866,666円≦1,000万円

となって、第3期目(平成27年5月~)も免税事業者です 😯

事業年度を変更するだけでしっかりと節税対策ができます!

■さらに短期事業年度を活用して消費税を節税!!

 前述しましたが「前事業年度の開始の日から6ヶ月間」を「特定期間」と言います。
つまり、第2期目からすると第1期目の前半6ヶ月間です。

本来なら、第1期目の前半6ヶ月の課税売上高と給与支払額が1,000万円超の場合、第2期目は課税事業者となり消費税を支払わなければなりませんが、
第1期目が「短期事業年度※」に該当すると、「特定期間」ではなくなり、第1期目の前半6ヶ月の課税売上高と給与支払額が1,000万円超でも、第2期目は免税事業者となり消費税を払わなくてよくなります。

※短期事業年度・・・下記のいずれかに該当する前事業年度をいいます。
①前事業年度が7ヶ月以下の場合
②前事業年度が7ヶ月を超え8ヶ月未満の場合で、前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間の末日の翌日から前事業年度終了の日までの期間が2ヶ月未満の場合

 決算期変更の図(短期事業年度)

第1期目から売上が多い方や給与支払額が多い方は、第1期目を早めに決算期変更すると第2期目に節税することができますね。

 ただし、決算月を早めることで、法人税、税理士への申告手数料等の支払も早まりますので、ご注意ください★

弊社FirstStepホームページのQ&Aもご参考いただければと思います!!