資本金

こんにちは。FirstStepの中桐です。

今回は起業をするときに気になる資本金の決め方についてです。

会社を設立したいのですが、資本金はいくらに設定したらいいですか?適正な金額はいくらですか?」こんな質問をよくいただきます。

 会社法改正により、会社設立が資本金1円からでもできるようになったことは有名です。しかし、会社設立時の資本金は、これから運営していく事業の元手資金となるものです。事業内容によっても最初に必要となる元手も異なります。資本金1円で設立した会社で、月々の経費を支払うことができるでしょうか?

資本金が1円で会社の設立はできても・・・
設立後のことを見据えて資本金の額は、決めましょう。

では、会社設立時の資本金の適正額はいくらなのでしょうか?
どんな視点から資本金を決めればよいのでしょうか?

 

資本金を決めるときに考える5つのこと

  1.  運転資金から資本金を考える
  2. 信用面から資本金を考える
  3. 資金調達の面から資本金を考える
  4. 許認可を取得するための資本金を考える
  5. 税負担面で資本金を考える

― 会社設立時の資本金の決め方のまとめ -

 

運転資金から資本金を考える

起業してすぐお客様にサービスを提供してもすぐに売上金の入金があるとは限りません。お客様にサービスを提供してすぐに入金される業種もあれば、入金が翌月、翌々月になる業種もあります。

商売を始めて最初の売上金の入金があるまでに、通常、商品の仕入代金・家賃の支払い・備品の購入・広告宣伝費・人件費の支払いなど様々な支払いが先行しがちです。これらの支払ができなければ、たちまち会社経営が行き詰ります。

そこで、売上金の入金があるまでに事業に必要な経費等を資本金で賄う必要があります。業種にもよりますが3ヶ月から6ヶ月分くらいの運転資金を用意しておくとよいでしょう。創業前に資金繰り計画を立て、売上入金が入るまでに必要な資金を計算し、資金が不足しないよう適正な資本金の額を算定しましょう。

 

信用面から資本金を考える

法務局に行くと誰でも簡単に、株式会社や合同会社の謄本を取得することができます。謄本の中には、その会社の本店の所在地役員の氏名事業目的資本金の額代表者の住所(これは嫌ですね…)などが記載されています。これから新規取引を始める際には、謄本を取得し、相手がどんな会社なのか調べることも少なくありません。取引先はこの会社からちゃんと債権の回収ができるかな?安全なのかな?ということを気にします。

最低資本金制度はなくなったものの、新規取引の際に謄本を取り寄せて資本金が極端に少ない場合、財務的に不安定で、信用力が弱い会社とみられる可能性があります。資本金の金額が大きい方が信用度は高まるでしょう。

 

資金調達の面から資本金を考える

創業時すぐに資金が必要になった場合に、資金を自分で用意できるとは限りません。資金の調達方法として自分の貯金、親族からの借金、金融機関からの融資などが考えられます。そこで金融機関からの融資を受けたいと考えた場合、創業時に受けることができる融資の多くに、自己資金の要件がつけられています。

例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、自己資金の2倍までの金額しか申し込むことができません。つまり、創業時に200万円の融資が必要な場合は、少なくとも自己資金として資本金が100万円なくてはなりません。

 

許認可を取得するための資本金を考える

許認可を取得する必要がある事業の中には、資本金がいくら以上ないと取得できないという許認可があります。例えば、建設業(一般)許可は、自己資金500万円以上ないと取得できません。

 許認可が必要な事業をする場合は、事前に許可の取得に必要な要件を確認をしてくださいね。

 

税負担面で資本金を考える

会社設立時の1期目・2期目は、(通常※1)資本金の額が1,000万円未満であれば消費税の納税義務がありません。

(※1 消費税の免税期間についてはコチラをご確認ください。)

ただし、①~④のように資本金の金額が大きい方が見栄えはよさそうに見えますが、設立時の資本金が1,000万円以上だと1期目から消費税の納税義務が発生してしまいます。

また、法人地方税の均等割りも資本金が1,000万円を超えると納税負担が大きくなります。

 ②~④をそれほど気にしない場合は、資本金は小さくしておいて、①で必要な運転資金を貸し付けるという方法も考えることができます。
(均等割りを低く抑え、消費税の免税期間を活かし、利益が出た時に、貸したお金を返してもらうって方法で、所得税の負担軽減にもつながります。)

 

会社設立時の資本金の決め方のまとめ

資金調達・許認可で資本金を決める必要がある時は、必要な調達額や許認可によって合す必要があります。

信用面については、業種や狙うマーケットによっては重要度は上がりますが、そもそも設立したての会社なので、資本金がたくさんあるだけで、信用が上がるのかどうか少し疑問もあります。ケースバイケースですが、それほど無理しなくてもいいのにって思うこともあります。

運転資金から資本金を考える場合、長期的な税負担も考慮にいれる必要があるのでご相談頂けると嬉しいです。

 

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