元税務調査官が教える!税務調査の時期や対応の注意点まとめ
起業をしているすべての方に訪れる「税務調査」。
その税務調査は、法人だけでなく、個人に対してもおこなわれるってご存じでしたか・・・?
こんにちは。
会社設立のプロ集団「ファーストステップ」の井阪です。
あなたは「税務調査」という言葉を聞いたことがありますか?
税務調査とは、国税庁が管轄する税務署などの組織が、納税者の申告内容を帳簿などで確認し、誤りがないかどうかを確認する調査を指します。
よくドラマなどで「税務調査に入られてしまった・・・!」的な描写がありますが(ドラマ「半沢直樹」でもそんなシーンがありましたね)、あれは、税金を正しく納めていない会社が、税務調査によって未納の税金を指摘され、追徴課税(※)をされるケースです。
※追徴課税とは、税務調査で発覚した申告漏れや脱税などに対して、ペナルティとして、本来の税金とは別に追加で徴収される税金のこと。
ただ、真面目に税金を納めている会社にとっても、税務調査は緊張するものです。
たとえば、大きな会社になればなるほど、取引の量とカバーすべき税法の範囲が増え、複雑化した税制において、申告忘れが起こりやすくなります。
そして、万が一申告漏れが発覚した場合、追徴課税されてしまいます。
この税務調査、法人だけでなく、個人に対してもおこなわれるってご存じでしたか?
事業をおこなっている人であれば、5年に一度はみんな受けることになるのです。
つまり、すべての事業家にとって、税務調査は避けては通れない関門です。
そこで今回は、そんな税務調査を無事乗り越えられるよう、元税務調査官の前原さんに、税務調査の準備や対応の注意点をお聞きしました。
前原さん、今回は税務調査に関するノウハウということで、よろしくお願いします。
はい、こちらこそお願いします。
税務調査というものは、経営者にとって精神的、時間的に大きな負担が生じるものです。
しかも、どれだけ真面目に納税している経営者であっても、税務調査官との“見解の相違”によって、意図せずして申告漏れが発生するケースなどもあります。
そうなると、追徴課税が発生し、金銭的な負担が生じてしまいます。
“見解の相違”・・・ですか・・・?
はい。
そのほとんどのケースが、納税者側が「これくらい大丈夫だろう」という勝手な判断していたことで起きる申告漏れによるものです。
また、追徴課税の場合、取引している相手の会社にも、精神的・時間的な負担を与える可能性があります。
なぜなら、申告漏れが発生したということは、相手との取引の内容を申告できていなかったということにつながり、税務調査官は相手の会社のことも調べようとするからです。
相手の会社も調べられちゃうんですね・・・!
それって、相手との今後の取引にも影響が出てきそうですね・・・。
そうなんです。
だから、税務調査に対する準備を事前におこなっておくことは、自分の取引先との関係を守る上でも大切なんです。
備えあれば憂いなし。
「忘れてた!」と気付いたときにはもう手遅れなので、ぜひ今回の記事をしっかり読んでおいてください。
というわけで、ここからは、元税務調査官である私「前原」が井阪さんに代わり、税務調査を無事に乗り切るためのノウハウをお話ししていきます。
元税務調査官としての視点からお話ししていきますので、なかなか見えてこない税務調査の裏側を可能なかぎりお伝えしたいと思います。
今回のノウハウを憶えておけば、突然の税務調査にもビクビクしなくて済むはずです!
情報量の多いページですが、項目別にまとめましたので、自分が知りたい情報が決まっている方は、目次のメニューをクリックして好きな項目から読み始めてくださいね。
それではまいります。
●このページの目次
■税務調査とは?
1、税務調査官時代に経験したエピソード
税務調査に関するノウハウをお教えする前に、私が税務調査官時代に経験したエピソードをひとつ紹介しておきます。
それは、大阪某所にて金属製造業を営んでいた会社の話です。
その会社の社長は金属製品の製造工程で生じる鉄くずを、定期的に訪れる回収業者に買い取ってもらい、その代金を「現金」で受け取っていました。
それがマズかったのです。
通常であれば、買い取ってくれた代金の現金を経理担当者に渡し、「雑収入」として計上すべきところでした。
しかし、金額も少額ということで、経理を通さず、その収入を従業員との飲食代に使う習慣ができてしまっており、飲食代の領収証も保管していませんでした。
そんな日々が続いたある日、税務調査が入りました。
税務署の担当調査官は、雑収入として計上すべき収入が計上されていなかったことに気付きます。
「なんですか、この収入は?」という冷ややかな調査官からの一言。
嗚呼、後悔先に立たず、結局、その会社は「本税の35%」という重加算税対象となってしまい、追徴税額が発生してしまいました。
また、取引のあった回収業者に対する「反面調査(※)」も実施されることとなり、回収業者にも精神的・時間的に負担を与え迷惑を掛けてしまいました。
※反面調査とは、事実関係の確認が調査先のみでは困難な場合に、取引先や銀行に行って確認する調査のことを指します。
このケースは、本来であれば、買い取ってもらった収入を「雑収入」として計上するとともに、飲食代の領収証を保管し、「経費」としてきちんと経理処理をおこなっておけば回避できたケースです。
しかし、その会社の社長は、税務署を甘く見てしまったがために、トラブルに陥ってしまいました。
税務署にはあなたが思っている以上に優れた情報収集能力があるということをしっかり憶えておいてください。
●「マイナンバー制度」導入によって指摘されやすくなる「申告漏れ」
最近導入された「マイナンバー制度」。
実はこの制度は、税務調査に直接関係のないサラリーマンの方にも影響してきます。
サラリーマンの方の中には、休日や空き時間を利用してアルバイトをおこなっている人もいます。
そういう方の多くは、「たかがアルバイトでしょ?」と油断しがちなのですが、金額によっては確定申告が必要になることがあるのです。
もし、確定申告が必要にもかかわらず申告していなければ、税務署から連絡が届きます。
先ほど、税務署には情報収集能力があるとお話しましたが、実は、「マイナンバー」制度が導入されてから、その能力はさらに上がっているんです。
というのも、個人の収入の把握が容易になったからです。
確定申告が必要にもかかわらず申告していない人はくれぐれも気を付けてください。
「忘れていたけど、まいっか・・・」では済まされない時代になったのです。
2、「任意調査」と「強制調査」とは?
税務調査には次の2種類の調査があると憶えておいてください。
いわゆるテレビドラマなどで見かける調査は「2」の「強制調査」ですね。
- 1、任意調査
- 通常、実施される税務調査のこと。
資本金1億円未満の法人や個人事業者については税務署の調査部門が担当し、資本金1億円以上の法人は国税局調査部が担当します。 - 2、強制調査
- 国税局査察部(通称:マルサ)が、脱税金額が大きい悪質な納税者相手に実施する調査。
最終的には、検察庁への告発を目的としています。
3、「事前連絡」と「事前調査」の内容
1、「事前連絡」の流れ
税務調査がおこなわれる場合は、原則、税務調査を実施する10日ほど前に、会社と会社の顧問税理士宛てに電話で事前連絡があります。
そして、その電話にて日程を決めるわけですが、日程を決める際は、可能なかぎり、税務調査の対応ができる期間を考慮して決めましょう。
ただし、次のケースは事前通知が行われずに予告なしに税務調査が行われる可能性があります。
- 納税者が重加算税の対象となる脱税(仮装隠蔽)行為を行っていると想定されるケース
- 飲食業や小売業など、不特定多数の者と現金決済で商売を行っている納税者
もし、予告なしに税務調査が行われた際、どのように対応すればよいのでしょうか・・・?
予告なしの税務調査はビックリしますよね。
その場合は、以下の対応を心がけてください。
■予告なしに税務調査が行われた場合の対応
- まずは気持ちを落ち着かせる
- 調査官に「なぜ、事前通知なしで税務調査を行うのか?」の理由を聞く
- 税理士と顧問契約している場合は、必ず税理士に連絡をとって相談する
- 仕事などの都合で税務調査の日程を延期してほしい場合は、調査官に延期を希望する理由を説明し、延期を丁重にお願いする
税理士と顧問契約している場合は、必ず税理士に連絡をとって相談することが大事というわけですね。
はい。
税理士はこういうときの頼れるパートナーですので、必ず連絡をとるようにしてください。
また、税務調査で大事なことは、あなた自身が納得して調査を受けることです。
調査官の調査方法や指摘事項に納得できない場合は、納得するまで調査官に質問してください。
でないと、あとで後悔することになります。
納得するまで調査官に質問・・・。
でも、緊張していると、一体どんなことを質問すればいいか、質問自体が思いつかないこともありそうですね・・・。
たしかにそういう場合もありますね。
なので、そういうときも税理士に任せれば大丈夫です。
個人で対応するのは、なかなかに厳しいと思います。
2、「事前調査」の流れ
実は税務署は納税者へ連絡をする前に「事前調査」というものを行っています。
- 過去5年分の申告書の見直し作業
- 過去5年分の申告状況の推移の検討
具体的には、「売上」「仕入」「経費」などを、過去の数値と比較して、異常値がないかどうかを調べます。
また、以下の調査もおこないます。
- 過去に税務調査を受けたことがあるかのチェック
- 取引先の状況のチェック
- 外観調査(現金商売などは「内偵調査」)
「外観調査」とは、飲食店の場合であれば、事前に外からお客さんの出入りを確認することです。
また、代表者である会社社長の自宅の外観を見回り、不自然に豪華な家に住んでいないか、BMWなどの高級車を所有していないかなどもチェックします
そして、「内偵調査」とは、飲食店の場合であれば、会計時にレジをきちんと打っているのかなどの現金の流れを確認することです。
また、代表者の個人申告状況を確認したりもします。
税務調査の流れと注意点
さて、ここからは税務調査の実際の流れをお話しながら、税務調査時に注意すべきポイントをお伝えしていきます。
1、調査1日目の午前中
調査官は、たいてい朝の10時くらいに来社します。
その際、調査官は必ず「身分証明書」を提示します。
身分証を確認し、相手が調査官であることを確かめてください。
午前中は帳簿などを見ることは少なく、雑談を交えながら、会社の近況を聞いてきたりします。
雑談の内容は、天気や景気、プロ野球などスポーツネタが多いです。
また、前回の税務調査で、その会社の社長の趣味を把握している場合は、社長の趣味などをネタにしつつ、気さくに話かけてきます。
ただ、このとき、実は調査官は帳簿に記載されていない内容の聴き取り調査を行っています。
リラックスしすぎてペラペラと話しすぎないよう、警戒心をもって慎重に会話してください。
とくにベテランの調査官になればなるほど雑談が上手く、雑談の時間が長くなりやすい傾向にあります。
もし、ペラペラと話しすぎてしまうと、うっかり余計なことを話してしまい、それが新たな調査対象の項目になりかねません。
たとえば、経歴や交友関係を喋るときは慎重になりましょう。
相手が優しそうな調査官だと、ついペラペラと話してしまいそうですね・・・!
はい。
にこやかな調査官が相手でも、その笑顔の裏には、プロとしての調査の目が光っているということを肝に銘じておきましょう。
実は、税務調査の基本は「性悪説」なんです。
税務調査は「正直に申告している者はまれで、大半の者が税金を少なく申告しているに違いない」という性悪説を基本として実施されているので、大半の調査官は申告是認(問題なし)を嫌がっているということを憶えておいてください。
性悪説・・・!
なんだか切ないですね・・・。
ちなみに、会社に関する情報を聞かれる際は、以下のような内容がよく聞かれます。
- 会社の沿革
- 業務内容
- 営業方針
- 取引先の範囲や取引条件
- 金融機関との取引条件
- 役員及び幹部社員の氏名と職務の内容
- 従業員の状況(責任者、従業員、従事内容)
2、調査1日目の昼休み
調査を受けていると昼休みがやって来ます。
ただ、この昼休みには、調査官用の昼食を用意する必要はありません。
なぜなら、調査官は「調査先で昼食の提供を受けてはならない」と上司から厳しく指導されており、昼食を準備していたとしても、食べることはないからです。(ただし、コーヒーやお茶を提供することは問題ありません)
実は調査官にとっては昼休みこそが重要。
午前中の調査内容を整理し、午後からの調査展開を考えるのです。
また、場合によっては、昼休みを使って、上司の統括官(課長級)に電話で相談するケースもあります。
あなたのほうは昼食をしっかりとりつつ、午前中に調査官からどのような聴き取りをされたかを思い返しながら、午後からの調査に備えましょう。
3、調査1日目の午後
調査1日目の午後より、次の項目を細かくチェックされるようになります。
調査官は、1日目の調査終了後に署に帰り、その日の調査内容を統括官(課長級)に報告し 、翌日の指示を受けます。
その際の統括官の指示内容によっては、2日目の調査がガラリと変わる場合があります。
ここからは説明することが一気に増えるため、専門用語が少し増えてしまいますが、調査官はこういった細かなことまでチェックしてくるということを知ってもらえればと思います。
はい・・・!
1、売上計上のチェック
顧客との取引において、受注から代金回収まで、どのような管理体制で、どんな書類を作成しているかを知るために聴き取り調査が行われます。
たとえば、以下のような内容です。
- 受注伝票やメモなどは作成されているか?
- 出荷・納品に関する台帳、納品書の作成時期はいつか?
- 運送手段は何か? また、運賃負担はどちらか?
- 請求書の作成は、何をもとに、いつ誰が作成するか?
- 代金回収方法は何か? 領収証は何冊使用しているか?(領収書を担当者ごとや相手先によって使い分けている場合があるため)
また、売上に関する証票類の把握と帳簿等との照合もおこないます。
- 聴き取りで把握した証票類の保管場所の確認
- 品名、数量、単価などの内容確認(例:単価が大幅に違う取引先が存在していないかどうか)
- 受注から商品などの手配、そして引き渡しまでの一連の流れを証票類から検討
2、仕入、外注費のチェック
発注から入庫、代金支払までの間に記録されたり、作成されたりする伝票や帳簿類などが、いつ誰によって作成され、どこに誰が保管しているかを知るべく、聴き取り調査が行われます。
1、証票類からの検討
いつもより高額なものを仕入れていた場合などは、その理由や仕入の事実を仕入担当者から確認するともに、納品書等の納品記録からの数量チェックが行われます。
たとえば、調査官は以下に着目しています。
- 納品書等に住所、電話の記載はきちんとあるか?
- 納品書等の筆跡は不自然ではないか? 三文判を使っていないか?
- 納品書等に記載の金額が10,000円や5,000円といったキリがよい数字になっていないか?
2、仕入帳の検討
請求書及び領収証等の証票類と仕入帳を照合するとともに、決済状況や物(商品、製品)の動きからも確認調査が行われます。
たとえば、調査官は以下に着目しています。
- 架空経費計上や、翌期の経費を前倒しで計上など、期末に多額の仕入を計上していないか?
- 買掛金残高が取引金額に比べて異常ではないか?
- 遠隔地で単発取引をしていないか?
3、期末棚卸資産計上のチェック
期末棚卸資産計上については、次の7つの事項を中心に聴き取り調査が行われます。
- 実地棚卸の実施日時
- 実地棚卸方法(具体的に)
- 実地棚卸の担当者(全員か、特定者か、その日の出勤状況は?)
- 決算期末以外の実地棚卸の実施の有無
- 棚卸表(一定様式か、メモ書きか、担当者の署名は?)
- 棚卸高の集計方法(誰が、何に基づいて集計するのか?)
- 棚卸の原始記録の保存状況(誰が、どこに?)
また、棚卸を実施した際のメモなどの「原始記録(※)」を把握して、申告書の棚卸明細書と照合し検討が行われます。
※領収書等の記録紙のことを税務署は「原始記録」と呼びます。
調査日現在の在庫をもとに、期首にさかのぼって受払を計算して検討するケースもあります。
たとえば、調査官は以下に着目しています。
- 期末直近の仕入及び翌期首の売上との対比、検討
- 預け在庫及び積送品の有無
- 製造(加工)工程からの検討
4、現況調査・現金監査
税務調査時には「現況調査」や「現金監査」と呼ばれる調査が行われる場合があります。
- 1、現況調査
- 調査官は脱税行為(重加算税対象)の証拠となる書類・現預金等を把握するため、社長及び経理担当者の机及び金庫・書類保管場所の中を調べることがあります。
現況調査は調査1日目に実施されるケースがほとんどですか、調査1日目は調査を受ける側の警戒心が強いため、警戒心の緩んだ調査2日目以降に実施されることがあります。 - 2、現金監査
- 調査時の現金残高と現金出納帳残高が一致しているかを確認する作業で、現金が不一致の場合は原因追及に時間を取られるため、調査日数が追加されたり、調査官に経理全体がずさんな会社であるとの印象を与える場合があります。
5、調査2日目
2日目には、帳簿に関する調査を中心に行われます。
たとえば、人件費・一般管理費や雑収入、資産勘定などを調べられます。
また、消費税及び印紙紙についての調査も行なわれます。
2日目が終われば、一応、調査項目は終了します。
1、人件費
1、給料、賞与の検討
正社員よりも短期アルバイトなどの雑給などを注意深く調べられます。
なぜなら、雑給のほうが源泉徴収も含めて問題点が発生しやすいためです。
また、人件費の検討に当たっては、机、ロッカー、配席図、組織図、氏名ゴム印などから「架空人件費」がないかの確認が行われます。
たとえば、調査官は以下に着目しています。
- 出退社時間がほぼ一定又は経理担当者と同一の者は要注意
- 業務日報からの勤務状況の検討
- 給与(賃金)台帳の検討
- 源泉徴収、年末調整がない
- 社会保険の適用がない
- 各種控除がない
- ラウンド数字の固定給
- 諸手当の支給がない
また、以下のようなケースもあります。
- 経理担当者以外の従業員に対しても、勤務状況等の質問調査を行うケース
- 住民税課税台帳及び住民登録の確認(市町村への反面調査)を行うケース
2、労務費の検討
労務費に関しても注意深く調べられます。
- 現場責任者が作成している出面帳、作業日誌の検討
- まかない費(食事代)、貸布団代などの徴収の有無から検討
2、一般管理費
接待交際費から雑費までの一般管理費については、証票類及び費用の性質、決済状況を調べ、架空計上から損金経理の妥当性などの検討が行われます。
3、雑収入
雑収入は、単発、臨時的取引が多く、計上漏れなどの問題点が発生しやすいため、業種・業態を十分把握してから確認調査が行われます。
たとえば、調査官は以下に着目しています。
- 貸倒損失として処理した債権を回収したもの
- スクラップ、副産物、廃液等の処分益
- 外注先に対する機械、重機、車両、工場内事務所等の賃貸料収入
- リベート(手数料収入)、販売(促進)協力金収入
- 工事附帯収入(残材」の処分益など)
ちなみに、計上漏れなどの可能性が大きい場合は、相手先への「反面調査」を行うケースがあります。
反面調査とは、事実関係の確認が調査先のみでは困難な場合は、取引先や銀行に行って確認する調査のことを指します。
もし、取引先に反面調査を実施された場合、取引先に迷惑かけるとともに、信用にも影響が及ぶケースがあります。
また、反面調査とは別に「連携調査」というものもあります。
連携調査とは、同族会社のある会社において、税務調査や取引関係の解明が困難とされる場合、関係会社とともに同時期もしくは直前直後に税務調査を行うことです。
調査担当者同士で互いに調査情報を共有することによって、調査効率を高めて全容解明を行うことを目的としています。
消費税増税時の調査のポイント
令和元年10月1日から消費税が10%に増税されたことによる想定される調査ポイントをまとめました。
1、損益計上関係
- 令和元年10月1日以降に計上すべき課税売上を令和元年9月30日以前に計上することによって、増税部分を逃れていないか?
※主に法人所得及び法人税額の影響のない9月決算以外の法人等が行うケースが多いが、9月決算でも赤字法人など、所得に影響があっても税額に影響がない場合は、行うケースもある。 - 令和元年9月30日までに計上すべき課税仕入れを、令和元年10月1日以降に計上することによって10%の仕入税額控除を行っていないか?
2、経過措置関係
- 平成31年4月1日(指定日)以降に契約を締結したにもかかわらず、平成31年3月31日以前に契約締結したことに仮装 して、不当に経過置適用を受けていないか?
- 契約締結日以外の適用要件についても満たしているか?
6、その後
2日間で充分調査しきれなかった項目については、引き続き、実地調査、追加資料提出要請、取引先や取引金融機関への確認作業などが必要に応じて行われます。
税務調査の結果は、調査後1ヶ月程度で指導事項についての税務署側の考え方をまとめて、通常、顧問税理士経由で、連絡があります。
連絡の内容は「修正申告を求めてくるケース」と、「修正は求めず指導にとどめる」というケースがあります。
修正申告の求めに応じるか否かはあくまで納税者の意思で、税務署の主張に納得がいかないようなら、修正申告をする必要はありません。
この場合、税務署はその内容に十分根拠を有している場合は、「更正決定」という処分を行います。
多くの場合は、若干の不満を残しながらも、納税者側で修正申告に応じているケースが多いようです。
これは、不満は残るが税務署の主張を覆すだけの絶対的な自信がなかったり、全面的に戦った場合、他のことも指摘されることを恐れるという心理が働いたり、これ以上調査で時間を取られたくないという心理が働くためです。
7、税務調査での「お土産」について
税務調査の際、調査官を“手ぶら”で返しては、相手のメンツをつぶしてしまうのでは?だから、ある程度、相手の“実績”となる何かしらの「お土産」を用意したほうがよいのでは?と考える方がいらっしゃいます。
「お土産」とは、あらかじめ税務調査で否認され修正申告をする項目を用意しておくことです。
例えば、数十万円の期末売上の帳端分の計上漏れや期末棚卸計上漏れなどを指します。
しかし、そんな「お土産」は必要ありません!
調査官は税法という法律によって仕事を行っているので、税法上において問題がない場合は、申告是認で調査終了するのは当然です。
お土産を用意してしまうと、調査官に「もしかしたら、何か隠している問題があるのでは・・・?」と疑われる可能性を生み、逆効果となるのです。
3、税務調査の対象となりそうな会社のパターン
税務調査先の選定は税務署の場合、調査部門の統括官(課長級)が行います。
基本的に税務調査の対象となるのは、問題点(追徴税額)がありそうな会社です。
次に当てはまる会社を総合的に判断して決定します。
1、前回調査からの経過年数
前回調査または設立日から3期(年)以上経過している会社が対象となる可能性が高いですが、申告においての異常計数が多い会社や、資料情報があるため早く調査を実施しなければならない会社においては、2期(年)あるいは1期(年)が経過した時点でも税務調査実施の候補に選ばれるケースがあります。
2、申告においての異常計数が目立つ会社
たとえば、前期に比べて売上が増加しているにもかかわらず、営業利益や申告所得が減少している会社や、例年に比べて多額の経費計上がある企業などの異常計数が目立つ会社は、税務調査実施の候補に選ばれます。
3、資料情報がある会社
税務署は国税庁という全国展開している大組織の中の一支店なので、会社に対する資料情報は蓄積しています。
その情報の中で脱税行為(重加算税対象)の問題点ありの可能性が高い企業については、税務調査実施の候補に選ばれます。
4、前回調査で脱税行為(重加算税対象)を行っていた会社
前回調査で脱税行為(重加算税対象)を行っていた会社は、また同じ誤ちを繰り返す可能性があるとともに、是正状況についても確認する必要がありますので、税務調査実施の候補に選ばれます。
5、長期未接触法人
申告においての異常計数もなく、問題のある資料情報もない企業については、通常は税務調査実施の候補からは外れますが、前回調査から5期(年)以上経過しており、ある程度の売上金額や申告所得がある企業は、定期検診という意味合いで税務調査実施の候補に選ばれるケースがあります。
赤字の会社には税務調査は来ないんでしょうか?
いえ、赤字会社でも税務調査が実施されています。
黒字会社に比べて、調査候補に選ばれる優先順位は低いが、赤字会社も税務調査が実施されていますので、注意してください。
たとえば、赤字会社の中には、黒字を不当に操作してわざと赤字にしている会社もありますので、そういった視点でも赤字会社はチェックされます。
4、税務調査に対応するために憶えておきたい事前準備
1、日常業務の税務調査対策
日常業務でもできる税務調査対策について、説明しましょう。
売上計上関係
- 売上管理を確実にして請求漏れを防ぐ。
納品書や作業日報等の売上関係資料から、発行する請求書の内容を確認することによって確実に請求漏れによるの売上計上漏れを防ぐ。 - 取引先からの入金時の仕訳処理は確実に行う。
入金の理由については、売上入金及び売掛金の回収、前受金など、その都度異なるため、間違えないように確実に仕訳処理を行う。 - 決算期末の売上計上については、帳端分の計上漏れがないように注意する。
たとえば3月31日決算期で、請求書が3月20日締日の場合は、3月21日~3月31日の帳端分の売上げを確実に計上するように注意する。 - 現金で売上代金を受領した場合は、その日のうちに現金出納帳に記載するとともに、発行した領収証(控)と売上計上のチェックを行う。
税務署の調査官は、少額で一度きりの未計上でも、その他にもあるのではないかと必ず疑い税務調査が長引く可能性があるので、現金売上計上は確実に行う。
チェックリスト(売上計上関係)
- 請求漏れはないか
- 納品書や作業日報等の売上関係資料等と請求内容は照合確認済みか
- 発行した領収証(控)と売上計上と照合済みか
- 未回収の売掛金の管理は適正か
- 入金時の経理処理は適正か
- 原価の関連から売上計上を確認したか
- 前受金がある場合の経理処理漏れはないか
- 値引き、返品ある場合の経理処理漏れはないか
- スクラップ等の副産物の雑収入計上は適正か
- 決算期末において帳端分の売上計上漏れはないか
仕入、外注費関係
- 仕入、外注費関係の証票類の保存は確実に行う。
証票類を紛失した場合は、速やかに支払先に証票類の再発行を依頼する。(現金支払の場合は領収証等の保存を確実に行う) - 支払先からの請求書等の訂正事項が発生した場合は、経理担当者が手書きで訂正するのではなく、支払先に必ず訂正した請求書の再発行を依頼するとのこと。
経理担当者が手書きで訂正した場合は、税務調査においては改竄しているのではないかの誤解を招く恐れがある。
チェックリスト(仕入、外注費関係)
- 仕入、外注費の証票類の保存は確実に行っているか
- 証票類を紛失した場合は、速やかに支払先に証票類の再発行を依頼しているか
- 現金支払の場合は領収証等の保存を確実に行っているか
- 支払先からの請求書等の訂正事項が発生した場合は、支払先に必ず訂正した請求書の再発行を依頼しているか
- 仕入値引き等がある場合は経理処理漏れがないか
- 買掛金の管理は適正か
- 仕入、外注費計上済分で引渡し及び役務の提供が未完了の有無を確認しているか
棚卸計上関係
- 社外や仕入先等の預け在庫の管理は日常から確実に行う。
預け在庫については計上漏れになりやすいので注意が必要である。 - 決算期末の積送品の計上について確実に行う。
決算期末において、納品書及び発送伝票等から積送品の有無について把握して計上漏れを防ぐ。
チェックリスト(棚卸計上関係)
- 日常の在庫管理は実施しているか
- 在庫の保管場所の把握漏れはないか
- 預け在庫の管理は日常から確実に行っているか
- 不良品などで廃棄した在庫については、廃棄記録(写真含む)を作成しているか
一般管理費関係
- 役員等の個人的な支出として、誤解されやすい経費は、帳簿等の備考欄等に支出の内容を記載するなどして、税務調査時に説明できるようにしておく。
税務調査ではグレーゾーンになるケースが多いので、経費の使途を明確にすることによって不本意に否認されないための防止策。 - カード支払いの経費を計上する際は、カード支払明細書と支払い時に交付された領収証等を二重に計上しないように注意する。
単純ミスが発生しやすい項目なので、注意が必要。 - 社長等の自宅の一部を会社事務所にしている場合は、水道光熱費等の共通費用を適正に按分計算を行う。
税務調査では、費用の按分については確認事項である。 - 商品券の購入については、使途についての記録を残す。
個人的に使用及び現金に換金したのではないかとの誤解を防ぐため。 - 旅費精算書及び旅費規定は作成して確実に保管するように。
旅費日当の支給に関する証拠書類と旅費計算の計算根拠として、税務調査時に提示が必要となる。 - アルバイトなどの雑給関係は勤務状況記録を保存する。
雑給関係においては、勤務状況記録を残すともに、現金支払いの場合は領収証を受領することによって、税務調査時に支出の証明ができるようにする。(税務調査において、支出の事実を疑問視されないための防止策)
チェックリスト(一般管理費関係)
- タイムカード及び出勤簿等の勤務状況資料は作成しているか
- 給与計算資料及び源泉徴収関係資料の保管は適正か
- アルバイト及びパートなどの源泉徴収は適正か
- 一般管理費の証票類の保存は確実に行っているか
- 旅費規定作成を含めた旅費精算は適正にしているか
- 備品等を購入した場合の資産計上または費用計上の判定は適正か
- 修繕費と資本的支出の判定は適正か
- 役員等の個人的な支出と誤解されやすい経費については、支出時に帳簿の備考欄などに使途等をメモしているか
その他
- 経理ミスが発覚してもミスを隠すために請求書、領収書などの証票類を訂正(改ざん)をしないように!
証票類の改ざんは、仮装隠蔽行為として、重加算税の対象となる。
チェックリスト(その他)
- 現金残高と現金出納帳残高とは常に一致しているか
- 現金入出金の際の経理処理は適正か
- 現金出納帳残高がマイナスになることはないか
- 仮払金の精算処理は適正か
申告書作成時の注意事項
申告書については、最も重要視される調査選定資料なので、誤解されないように注意して記載するように心掛けましょう。
- 申告内容に異常係数がある場合。
申告書の添付書類である勘定科目内訳明細書の備考欄及び事業概況説明書の備考欄に、異常係数の理由等を詳細に記載する。 - イレギュラーなケースがある場合。
イレギュラーなケースは税務署の調査官が最もマークする事項なので、必ず申告書の添付書類である。
勘定科目内訳明細書の備考欄及び事業概況説明書に、イレギュラーになった理由等を詳細に記入する。 - 勘定科目内訳明細書は安易に「その他」で纏めるのではなく、できる限り詳細に記載する。
詳細記載することによって不明点がなくなり、信憑性が増す。 - 今期に無くなっている預金口座がある。
何時の時点で預金口座を解約した等を備考欄に記載する。 - 過去数年において期末残高が同額の買掛金・未払金等がある。
数年間、期末残高が同額である理由を備考欄に記載する。
2、事前連絡後の税務調査対応
税務調査を受ける側の会社側は、税務調査の日までに何を準備すべきなのかを説明しましょう。
準備する項目は次のとおりです。
- 日々の取引の流れを、説明できるようにしましょう。
※例えば製造業などは、製造過程や製品などを説明できるようにする。
卸売業などは、取扱商品や納入方法など説明できるようにしましょう。
誤解を招いて不本意な追徴や税務調査が長引かないようにするための予防策です。 - 遠隔地取引やイレギュラーな取引こそ、説明できるようにしましょう。
調査官は、イレギュラーな取引や遠隔地取引を調査ポイントにしますので、時間をかけても、必ず説明できるようにしましょう。 - 売上や棚卸商品などの主な勘定科目の期末計上を、チェックしましょう。
期末計上は調査重要ポイントです。 - 代表者の個人的費用と勘違いされやすい支出を、説明できるようにしましょう。
不本意な追徴をされないための予防策です。 - 過去の調査での修正事項及び指導事項を、チェックしましょう。
調査官は必ずチェックします。 - 現金残と現金出納帳の残高は、必ず合わせましょう。
現金監査は調査重要項目です。 - 机の上、机の中、金庫、書類棚は、整理整頓を心がけましょう。
確認調査が行われるケースがあります。
※「1」と「2」は否認されやすい項目ですので、要注意です。
説明力が大事ですので、当日までにしっかり準備しましょう。
3、税務調査を受ける前のチェックリスト
税務調査を受ける前に事前に確認すべき項目をチェックリストにしました。
事業概況等
- 会社概況や取引状況について正確に説明できますか
- 遠隔地取引や単発などのイレギュラーな取引について説明できますか
- 現金残高と現金出納帳の帳簿残高は一致しますか
- 法人名義の預金通帳等は、会社に保管していますか
- 調査当日に社長及び経理担当者の机、金庫等の中を調べられても大丈夫ですか
- 調査当日にPC(ごみ箱も)をチェックされても大丈夫ですか
- 調査当日に事務所、店舗、工場、倉庫等の実地確認されても大丈夫ですか
売上・雑収入関係
- 納品書及び請求書(控)、領収証(控)等から売上が適正に計上されていますか
- 期末の売上計上は適正に計上されていますか
- 受注から売上計上までの一連の流れを説明できますか
- 売上の計上基準は明確になっていますか
- グループ法人または役員親族間の取引金額は適正ですか
- 個人事業者から法人成りの場合、個人時代の預金口座に売上代金が入金されていませんか
- 売上値引きがある場合、計算根拠も含めて説明できますか
- スクラップ、副産物の売却代金は雑収入に計上されていますか
- リベート収入等は雑収入に計上されていますか
仕入・外注関係
- 仕入及び外注費に関する証票類は調査官に提示できる状態ですか
- 期末の仕入及び外注費の計上が適正に計上されていますか
- 紛失した証標類がある場合、取引内容及び取引先への確認が可能ですか
- 仕入値引き等については適正に計上されてますか
- イレギュラーな取引について、取引開始の経緯を含めて説明できますか
- グループ法人または役員親族間の取引金額は適正ですか
- 給与課税対象になる外注費はありませんか
- 従業員から外注先になった者の外注費計上の正当性は説明できますか
期末棚卸資産関係
- 期末棚卸資産の明細表等の集計は正確ですか
- 期末棚卸資産計上については、棚卸実施状況も含めて説明することができますか
- 預け在庫及び積送品については計上していますか
- 期末棚卸資産計上額には、製造過程で発生する労務費が算入されていますか
人件費関係
- タイムカードまたは出勤簿等の勤務状況資料を含めて、人件費計上の流れを説明できますか
- 退職したアルバイトなどの非正規社員については、その者の住所等も含めた詳細説明ができますか
一般管理費関係
- 一般管理費に関する証票類は調査官に提示できる状況ですか
- 期末の一般管理費の計上が適正に計上されていますか
- 短期前払費用で損金計上した費用については、損金算入の要件を満たしていますか
- 紛失した証標類がある場合、取引内容及び取引先への確認が可能ですか
- 接待交際費と他の勘定科目との区分は適正にされていますか
- 旅費規定作成を含めた旅費精算は適正にされていますか
- 修繕費と資本的支出の判定は適正にされていますか
- 商品評価損の計上がある場合は、資料に基づいて説明できますか
- 貸倒損失の計上がある場合は、資料に基づいて説明ができますか
- 従業員に家賃や昼食の補助を行っている場合、源泉所得税課税はしていますか
- 保険料については、資産計上分と損金計上分を適正に区分していますか
- 交通違反金などの罰科金は、法人税申告書で損金不算入にしていますか
その他
- 仮受金や前受金で売上計上すべきものはありませんか
- 仮払金の精算は適正にされていますか
- 役員に対する貸付金には利息収入を計上していますか
- 固定資産の除却損がある場合は、証拠資料等で説明できますか
- 役員退職金については、損金算入の要件を満たしていますか
- 消費税申告の計算において、課否判定は適正にされていますか
- 契約書や領収証には適正な収入印紙が貼付されていますか
5、税務署という組織について
税務署の事業(事務)年度は7月1日から翌年6月30日ですが、人事異動が7月10日であり、実質のスタートは7月10日からです。
大部分の調査官は、7月から年末までに数字(増差税額等)を上げることを目標としています。
その理由は、年末までの税務調査事績が勤務評定の大部分を締めるためです。
また、確定申告終了後から事業年度末までが、計画した調査処理件数の達成を目標としています。
余程の理由がない限り、計画した調査件数のノルマ達成は絶対です。
ちなみに、税務署は全国展開している「国税庁」という大組織の中の1支店です。
そのため、税務調査対象の企業の取引情報を保有しています。
調査官は、税務調査時やあらゆる機会において情報収集を行っています。
情報収集専門の調査官も配置されており、納税者から提出された申告書等からも情報収集を行っているのです。
さらには、市町村と協力関係にあるため、社長を含めた役員や主な従業員(経理担当等)の収入状況や家族状況などの個人情報も把握しています。
そして、マイナンバーの紐付きで他官庁の情報を把握しています。
今までは調査時に必要性が発生した場合に他官庁に情報提供を依頼してきましたが、今は新規の預金口座の開設にマイナンバーが必要となっていますので、預金に関する取引の内容把握が容易になっています。
「内偵調査」と「外観調査」
調査官は「内偵調査」と「外観調査」というふたつのスタイルの調査をおこないます。
内偵調査
飲食店や小売店などの不特定の者に主に現金で販売する店に、税務調査を実施する前に調査官が客を装って行う調査のことです。
確認項目としては、レジ管理がされている場合は、レジ打ちの有無、客数、客単価、従業員数などを確認します。
飲食店や小売店等の現金商売の場合は、帳簿調査のみでは売上計上の適正を確認するのが困難なため、内偵調査での確認事項が重要となるんです。
- 内偵調査で支払った金額が、売上に計上されているか
- 内偵調査時に把握した客単価と客数から想定した売上と比べて売上計上額は適正か
- 内偵調査時で確認した従業員数に比べて人件費計上は適正であるか
外観調査
税務調査実施前に、社長の自宅や会社事務所等、土地保有の場合は土地の使用状況を、事前に確認する調査のことです。
6、税務調査官もプレッシャーを感じている!彼らの仕事について
調査官の仕事において、増差(追徴)税額に関するノルマはありません。
ただ、年間に税務調査を何件程度実施しなければならないというというノルマはあります。
基本的にはよっぽどの大口事案(重加算税対象を含む)や困難事案を除き、翌事業年度に繰越さずに事業年度末までに処理しなければならないため、大半の調査官が調査件数処理と処理期限に追われています。
また、税務調査という仕事は、具体的な数字が付きまといますので部門間や同僚との間での競争意識が働き、数字を気にしている調査官が大半であるのが実情です。
ちなみに、調査官も税務調査で緊張します。
というのも、税務調査に協力的である会社もあれば非協力の会社もあるからです。
調査先の中には税務署を目の仇にしている社長や経理責任者もおり、調査初日の挨拶時から喧嘩腰になるケースもあります。
だから、ベテラン調査官でも調査初日に調査先の玄関のドアを開けるときは非常に緊張するんですね。
また、今は規模が比較的小さい会社でも、「上席調査官」が担当調査官になるケースが増えています。
税務署の調査部門(課)は、統括官(課長級)、上席調査官(係長級)、調査官(主任級)、事務官(一般職員)というふうに6~8名程度で構成されていますが、一番多いのが上席調査官クラスなのです。
調査官と付き合うときのヒント
調査官とは一期一会。
多くの職員は3~4年で転勤するため、同じ調査先に2度調査に行くことは、滅多にありません。
そのため、税務調査中には、遠慮せずに調査官に大いに意見を主張してください。
ただし、調査官には挑発的な態度はしないほうがよいです。
というのも、調査官も心をもった人間であり、挑発的態度をとられれば感情的になることもあるからです。
調査官が感情的になってしまうと、調査官のやる気にさらに火がつき、税務調査が長引くケースもあります・・・。
気を付けてくださいね。
いかがでしたか?
税務調査の概要はつかめましたか?
会社経営をする以上、税務調査からは逃れることができません。
来たる日に備えて、しっかり準備をしておいてくださいね。
ファーストステップのグループ会社「中央会計」は、会計・税務のプロフェッショナルです。
今回のコラムで解説を担当した元税務調査官の前原も在籍しており、お客様の税に関する不安を取り除くことで事業に集中していただけるお手伝いをおこなっています。
会計や税務のことでお困りであれば、「お客様第一主義」を通じて急成長中の「中央会計」にぜひ一度ご相談ください。