代表取締役 田方 篤志
HP http://robomind.co.jp/
会社名 | 株式会社ロボマインド |
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住所 | 〒651-0063 神戸市中央区宮本通5-5-20 |
代表者名 | 田方 篤志 |
事業内容 | ・人工知能研究 ・せどりソフト「せど楽」開発・販売 |
まずは「お金を稼ぐ」を目指すことに
株式の自動売買システムや「せどり」をサポートするシステムを開発した株式会社ロボマインドの田方篤志氏。現在は開発したシステムの運用やサポートは協力会社に任せ、自身は人工知能の研究に没頭している。
「コンピュータに意識を発生させる人工知能の研究をしています。この研究に取り組むために、さまざまなシステムを開発して利益をあげてきました。人工知能もプログラミングも、取り組むきっかけは29〜30歳の頃にさかのぼります」
サラリーマンだったが20代の終わりに大病を患った田方氏は、その時に「このまま平凡な人生で良いのか」という想いがわき起こった。同時に、30歳の今から大学時代に研究していたテーマを実現しようと考えてプログラムの勉強を始め、それが次第に人工知能の研究に取り組むようになっていった。
「当時、昼はサラリーマンとして働き、夜はプログラムや人工知能の勉強をしていたので全然進みませんでした。間もなく『これは本気でやらないと人工知能なんて作れない』と感じ、仕事を辞めて勉強しようと決意したんです」
会社を辞めた田方氏は、24時間365日をプログラミングと人工知能の勉強に費やすことに。食事の量をギリギリまで制限し、少しずつこれまでの貯金を切り崩しながら暮らす日々だった。
「この暮らしを2年続けましたが、さすがに貯金も心細くなってきます。すると不安になるんですよね。自分は何をしているのか、と……。そんなある日、この不安の根源はお金だと気がつきました。人工知能は人間の心を作る壮大な研究。こんなノーベル賞級の研究を成功させるなら、お金を稼ぐぐらいは簡単にできないと絶対に成功しないと考えました。そこで研究はいったんストップさせ、働かなくても研究に没頭できるぐらいのお金を先に稼ごうと決めました」
人工知能研究に没頭できる環境を獲得
お金を稼ごうと考えた田方氏が選んだビジネスは「せどり」。当時はまだAmazonが日本に進出してきたばかりの頃で、競合も少なかった。
「本が好きなこと、一人でもできることが決め手でしたが、初月から10万円以上の利益が出ました。ただ始めてみると、せどりは、梱包やお客さんとのメールのやり取りの方が大変だと気がつき、省力化しようと自動化するプログラムを作りました」
このプログラムが人気を博し、せどりではなくせどり用のシステムを開発・販売するように。その後、世の中にデイトレードブームがわき起こった時には、リアルタイムで株を自動売買するトレーディング・システムを開発・販売した。
「どちらも開発担当として黒子に徹し、パートナーが販売を担当するスタイルでした。このデイトレーダー向け自動売買ソフトが爆発的に売れ、会社の設立を決意しました」 FirstStepはインターネットの検索で見つけ、ほかにも数社を訪問した。
「FirstStepは価格面で大きなアドバンテージがありました。さらに組織としても規模が大きく、相談した時にいろいろと相談に乗ってくれそうだと感じたのが決め手になりました」
会社設立直前に、せどり支援システム「せど楽」の販売を新たに開始した。今まで、仲間や知人に任せていた営業活動や顧客対応などを、今度は、すべて自分一人で行うことに決めた。するとほどなく「せどりブーム」が到来したことに加え、ある有名な起業家が『せど楽』を紹介したことで一気にユーザーが急増。しかし、急増に伴って一人で行っていた顧客サポートなどの負荷が大きくなった。自分のキャパシティを超え始めていると感じた田方氏は、一緒にビジネスをしてくれるパートナー探しを始めた。
「多くの人に直接会って話をして、信頼できる人を見つけることができました。これまでの経験から、お互いがプラスになるような内容を意識した契約書をきちんと締結し、定期的に会議を行うことをルールにしました」 こうして「せど楽」の販売と開発サポートを協力会社に任せ、売り上げの一部を得ることで、田方氏は晴れて人工知能の研究に没頭できる環境を手に入れた。
世の中の役に立つ取り組みに挑戦する
ビジネスを成功させて、人工知能研究に没頭できる環境を手に入れた田方氏。ビジネスに取り組む上で大切にしていることをうかがうと、目標の持ち方が重要だという。
「大きな目標を持つことが重要です。小遣いが稼げたら良いなぁと思う程度だったら、今でもせどりをやっていたと思います。働かなくても研究できるだけの十分な収入を確保するぞという大きな目標があったから、せどりに安住することなく、常に新しいことに挑戦し続けられたと思います」
そしてもうひとつ、ビジネスが成功した要因として「寄付」を挙げた。 「寄付など、『人のために行動を起こす』ことで、不思議と運を引き寄せます。重要なのは、思いでなく行動です。心がこもってなくても、思い切った寄付をすると、目に見えて運がよくなりますよ。 それから、成功の8割はマインドによって左右されますね。自分のマインドを常にいい状態に保っておくことは、皆さんが思っている以上に重要なのです」
今後は人工知能の研究を進めながら、自分にしかできない、世の中の役に立つこともやりたいと語る田方氏。その取り組みのひとつが、せどりを使った障がい者雇用支援だ。形だけの仕事でなく、実際に利益を上げて、障がい者に普通に賃金を渡せるビジネスモデルの確立を目指す。
「試験的に障がい者雇用施設に『せど楽』を導入してもらっていますが、今までの仕事にくらべて桁違いの利益を上げていると喜んでもらっています。何より、実際に働いている障がい者の皆さんが、自分の仕事でお客さんに直接感謝され、働くことの楽しさを実感してもらっていることが嬉しいですね。今後は、このビジネスモデルを全国に広げたいと思っています」
担当者より
田方社長は、人工知能の研究という非常に専門的な分野で起業されました。
ただ、人工知能の開発には時間もお金もかかるため、他のビジネスモデルを立ち上げて、その収益を将来のビジネスのために投資するという非常におもしろい取り組みをされています。
また、収益を上げるだけではなく、障がい者の方自身が収益をあげる仕組みを考えられ、社会貢献ということも非常に大事にされている社長です。(辛島 政勇)