OA機器販売業で起業

売上よりも経営できるかが不安だった

OA機器の販売をはじめ、防犯カメラなどのセキュリティ機器や介護ソフトの販売などを行うISSYO株式会社。代表取締役の川口浩司氏は、OA機器販売業界で20年以上のキャリアを誇る。
「起業前は営業担当として現場の最前線で活動しながら、中途採用で入社してきた社員の教育も担当していました。その後、40歳では新卒採用で入社してきた社員の教育も担当するようになったのですが、営業方法だけではなく、社会人としてのマナーや考え方を伝えて育成する仕事なので、大きなやりがいを感じていました」

そんな川口氏が起業を考えるようになったのは、お客様の「独立しないの？」「どんなキャリアビジョンを描いているの？」という言葉だった。
「お客様から将来に関する質問やアドバイスをいただく機会がたくさんありました。聞けば聞くほど、自分の中で起業という選択肢が大きくなっていったんです」

一般的に離職率が高いとされるOA機器販売業界の方向性やお客様とのご縁をどう活かしていくかを考える中で、自分が考える理想を実現するには、起業という選択肢が最善だと考えるようになったという。
「起業するにあたり、幸いなことに売上や営業、人材育成には不安はあまりなかった。ただ、経営には不安がありました。前職時代も直前まで起業するつもりがなかったので、あまり経営層の動きを見ていませんでしたし。当時は『販管費』の概念すら正しく理解していなかったほどです（笑）」

顔の見える関係が信頼の礎

そんな企業経営に不安を感じていた川口氏をサポートしたのがFirstStepだった。
「FirstStepは、信頼できる知人経営者から紹介してもらったんです。彼自身もFirstStepで起業していたので、安心してお願いできました。また、代表が同じ東大阪市出身で親近感を感じたのも決め手でしたね」

指示に従って手続きを進めるうちに会社が設立されていて驚いた。
「社印まで用意してもらって、本当に至れり尽くせり。会社設立後も、チャットワークを使って税務はもちろんのこと、人材やITに関することまで気軽に質問できる上、レスポンスも早くて助かっています」

ISSYO株式会社という社名は『一生の仕事を一緒に笑顔で』という企業理念に由来する、と語る川口氏。彼がビジネスにおいて大切にしているのが『顔の見える商売をする』ことだ。
「OA機器販売業界は効率化が優先され、お客様と一度も会うことなく契約や納品が行われるのが当たり前なんです。だからこそ当社のような小さな企業は、手間を惜しまずにお客様の顔を直接見てビジネスをしなければならないと考えて実践してきました。それが差別化につながると確信しています」

お客様と『顔が見える関係』を構築できた担当者がずっと変わらなければ、信頼関係に基づいた息の長いビジネスができる。ISSYO株式会社では、そんな人と人の信頼を礎にしたビジネス展開をめざしている。

素直に。本音で。熱意を持って

これから起業しようと考える人へのアドバイスをお願いすると「必ず起業前に、先輩や仲間に起業プランを聞いてもらい、アドバイスをもらうことをオススメします」という答えが返ってきた。
「私自身、売上もある程度見込めるところから起業しただけに、自分が頑張れば会社はどんどん成長すると思っていました。しかし、実際にはつまづきの連続。よくよく考えると、自分だけが頑張ってもどうしようもないことに気づいたんです」

そんな時に助けとなったのが、多くの経営者仲間や先輩からのアドバイス。
「経営なんて思った通りにいかないのが当たり前。だからこそ、思い通りにいかない荒波を乗り越えてきた仲間や先輩のアドバイスに素直に耳を傾けて実行するべき。そうすれば自然に未来が拓けて来ると思います」

最後に、今後の展開について話をうかがった。
「会社を継続的に成長させることが当面の目標。お客様に対して誠実で信頼されるスタッフを育てて増やしていく中で、結果的に人数が増えていけば良いと思っています」

そのために誰とでも本音でぶつかっていきたい、と川口氏。だが、時には本音が誤解を生むこともある。
「誤解を恐れずに良いことも悪いことも両方伝えて判断してもらうことが、お客様にとっても最良だと考えています。熱意をもって伝えれば分かっていただけるはず。これからも、お客様や社員との信頼関係を重視したビジネスを展開していきたいですね」