自分にとって理想の店を作れば、お客さまは喜んでくれるはず
東大阪にあるトータルアクアリウムショップ『アクアテイラーズ』を含め、4店舗を展開する有限会社アクアテイラーズ。熱帯魚はもちろんのこと珊瑚や水草、観葉植物なども扱っています、と代表取締役の高橋正人氏。もともと高橋氏自身もアクアリウムが趣味だった。
「アクアリウムを楽しむ人の多くがショップで熱帯魚や機材を購入しますが、各店舗ごとに特徴があるため用途や目的によって複数のお店を訪れる必要があったんです。自分が理想とする品揃えやサービス、サポートなどがすべて揃った店舗はなかなかありません。ならば、自分にとって理想の店を作れば、他の人にも喜んでもらえるんじゃないかと考えたのがきっかけでした」
当時は、飼育目的に加えて部屋のインテリアとしての熱帯魚飼育が注目され始めた頃。しかしながら、店舗側のお客さまに対するアフターフォローの意識は低く、店舗自体もお客さま視点で作られたお店は少なかった。
「ホスピタリティあふれるスタッフがいて、アフターフォローもしっかりしており、トータルに信頼関係を築いていくようなお店って、当時はなかったんです。理想かもしれないけど、本当にそんなお店があれば、たくさんの人が来てくれるんじゃないかと思い、仲間と二人で『やろう!』と起業を決意しました」
店舗スタッフがお客さまと一緒に楽しみながら働ける店をめざす
起業の決意をしてから開店までの準備期間は約2年。ユーザー側から店舗側の人間になるために必要な2年だったという。
「業界リサーチや仕入れ先開拓など、すべてゼロから構築する必要がありました。しかも、当時はまだインターネットがあまり普及しておらず、調査や交渉には電話や訪問の必要があったために時間が掛かりました」
最初は個人事業としてオープンさせたが、すぐに人気店となって移転の検討を始めた時点で法人化。会社設立手続きは高橋氏自身が行い、移転資金調達に四苦八苦していたところで中央会計と出会った。
「中央会計は検索エンジンで見つけました。先述の通り、当時はまだネット黎明期でしたが検索1位で出てきたのを覚えています。相談してみると、融資に関するさまざまな情報をご提供いただき、当時の年商ベースでは困難な額の融資をサポートしてもらった。中央会計のすごさを実感しました。もちろん税務も見てもらうことにしました。本当に会社飛躍の恩人です」
その後、無駄のなさとコストパフォーマンスの高さを実感し、別会社設立の際はFirstStepを利用するなど、FirstStepのサービスもしっかりと活用してきた。そんな高橋氏に仕事に取り組む上で大切にしていることを尋ねた。
「スタッフには、お客様とともに楽しむ意識を持って働くようにと話しています。おかげさまで、この業界の離職率は決して低くないのですが、当社は業界平均よりも圧倒的に離職率が低い。まだまだ足りない部分は多いですが、できる限り皆が楽しみながら働ける環境を提供できるよう意識しています」
コンサルティングやパルダリウムといった新事業の成長をめざす
4店舗を展開し「今は社内体制を充実させるタイミング」と話す高橋氏に、これから起業しようとする人へのアドバイスをお願いすると、「中長期のビジョンをしっかりと持っておくことが必要」という言葉が返ってきた。
「働いていると『想い』が徐々に至らなくなります。中長期の夢は自分で考え、ブレることなくしっかり持っておくことが必要です」
逆に、短期の資金繰りや経営計画といった部分は、周囲の専門家の手を借りて相談しながら進めていけば良いそう。
「目先の手続き、書類などはプロにどんどん助けてもらえばいい。信頼できる人とお付き合いできれば、情報を取捨選択する必要がなくなり負担が一気に減ります。そういう人と出会う努力をすることもおすすめします」
今後の展開をうかがうと、既存店舗の活性化に加えて新事業にも挑戦したいという。
「新事業のひとつが、他店の熱帯魚売り場や熱帯魚ショップのコンサルティング。施設改装や従業員教育において、当社の経験やノウハウを提供していきます」
さらに、パルダリウムの普及促進にも取り組んでいきたいと考えている。
「パルダリウムは、植物を主体としてジオラマ的に熱帯雨林の再現を試みるものです。実は当社は壁面緑化に強みがあり、パルダリウムでは壁面緑化が重要な要素となります。このパルダリウム普及をめざしながら、当社の強みである壁面緑化を広めていければと考えています」
担当者より
高橋社長と出会ってから早いもので12年が経ちました。
20坪の店舗から起業され、西日本最大級の店舗になった今でも「小回りのきく丁寧なサービス」を実践されております。
日々会計データを確認し、変化に対応する柔軟かつ真摯なお姿が高橋社長の魅力であり、多くのファンを魅了しているのだと感じます。
これからもいろいろな面からサポートさせていただきたいと思います。(梛野 季之)