スポーツバイク専門サイクルショップの経営で起業

スポーツバイクの魅力を伝えられれば起業は成功すると確信

近鉄長野線川西駅のほど近くにあるスポーツバイク専門店『BICYCLE STEP（バイシクルステップ）』は、アメリカのロードバイクメーカー『トレック』の自転車を専門に扱う「トレックコンセプトストア」だ。運営するtotto project株式会社代表取締役・佐藤教行氏が、ロードバイクに魅せられたのは大学生の時。
「入学して色々な部やサークルを回っている時に、偶然サイクリング部を訪問して。そこでロードバイクに乗せてもらった時に、スピードや乗車時の感覚に感動して入部を決めました。以来、ロードレースや国内外のさまざまな場所を自転車で旅行するなど、自転車と一緒にさまざまな経験をした学生生活でしたね」

卒業後は、鳥取県で農業法人の代表として4年間農業に取り組んでいたが、どうしても自転車に関わる仕事がしたいと地元・大阪に戻ってファミリーサイクルなどを販売する自転車店に転職。だが、スポーツバイクに携わりたいと岡山県にスポーツバイク専門店の新店を作ろうとしていた会社に転職し、岡山の店で働きはじめた。そのお店では3年半にわたって店長も務めることに。
「岡山での仕事も充実していましたが、『いつか地元に戻ろう』という気持ちはずっとありました。それで地元の富田林に戻って店を開くことにしたんです。すると働いていた店のご縁から、トレックのプロショップとしてオープンできることになりました」

地元ではあるものの、ビジネスの縁はゼロからのスタートとなった。
「スポーツバイクの面白さや素晴らしさ、与えてくれる経験をしっかり発信すればいけるという自信はありました。だから楽観的に考えていましたね（笑）」

離れた地での起業準備を助けたのはチャットワーク

起業準備を始めた当初は、会社設立手続きを自分で行う予定だった。しかし、岡山で働きながら開店準備を進めていたこともあり、プロに任せようと決めた。
「プロに依頼しようと決め、インターネット検索で見つけたのがFirstStepでした。何社かホームページを見たのですが、最も質実剛健で堅実にやってくれそうなイメージを受けたんです。実際に会ってみると、ホームページから受けるイメージのまんまで。加えて、設立後の経理面を見てもらえるのも決め手になりました」

岡山から開店準備を進めていたことで、何度も物理的な距離や時間が設立準備の進捗を阻んだという。
「働きながらだったので、昼間に電話を受けられません。でも、FirstStepとチャットワークでやりとりしていたことが助けになりました。夜中に書類や資料を作成するので、不明点や疑問点も夜中に発生します。その場で質問や書類データをチャットに入れておけば、翌日の夜にはFirstStepから質問の回答が返ってきていた。おかげでスムーズに準備が進められました」

『幸せを感じてもらえるようなきっかけや場を、自転車を通じて提供したい』と考える佐藤氏が、仕事に取り組む上で大切にしているのは「常にお客様の期待を超えること」だという。
「自転車のメンテナンス精度やお客様へのご説明、イベントの面白さなど、常にお客様の期待以上の結果を提供しようと意識しています。メンテナンスひとつとっても、安価に済ませることは誰でもできるんです。安さとは別の部分で違いを出し、満足していただく。今は高価なロードバイクもインターネットで買える時代。ネットショップで購入して、ひとりで乗るだけでは味わえない楽しみや驚き、喜び、知識、経験を提供する店でありたいですね」

サイクルショップは物販業＋アドベンチャー事業

お客様の期待を超えようと動き続ける佐藤氏。これから起業しようと考える人へのアドバイスをうかがった。
「自分の利益だけじゃなく、周囲の利益も意識して行動したいですよね。私自身も、地元・富田林を元気にしたいという想いから色々なお店とつながったり、お店同士が協力して相乗効果を出せないかを意識して行動するようにしています」

そうしたアクションから誕生したのが、店の駐車スペースで実施するマルシェだ。
「とても盛況で、毎回多くの人が笑顔で楽しんでくださいます。しかもマルシェに来た新規のお客様が、自転車に興味を持たれて購入されたこともあります。最初から自分の店だけで小さく収まるのではなく、多くの人とつながって相乗効果を作り出していけば、いつか自分に返ってくるのだと実感した瞬間でもありました。私自身、さらに地域を巻き込んで面白いことをやっていきたいですね」

最後に、今後の展開についてうかがった。
「サイクルショップは物販業ですが、私自身はアドベンチャー事業だと捉えています。釣りや農業を体験するために自転車で移動するようなイベントを開催するなど、自転車で自然体験を楽しむ『幅』を広げたい。将来的にはキャンプ用品なども展開し、アウトドアショップとサイクルショップが融合した店舗づくりもしてみたいです」