訪日外国人向けSIMカード販売＆WiFiルーターレンタル業で起業

海外留学中に思い立って起業

日本を訪れる外国人向けにSIMカードの販売やモバイルWiFiルーターのレンタル事業に携わるeConnect Japan株式会社。代表取締役の小山修平氏は神戸のホテルで働いた後、ホテルマネジメントやホスピタリティサービスを学ぶべくスイスに留学している時に、この事業を思い立ったという。
「スイスでも他の諸外国でも旅行者が比較的簡単にネットを使える環境や手段がある。しかし、ふと『日本を訪れる外国人はどうなんだろう？』という思いが頭をよぎったんです。すぐにネットで調べてみると、当時は訪日外国人向けのWiFiルーターのレンタル業者が数社あるだけ、SIMカード販売もどこもやっていなかった。『これは行けるかも！』と考えてすぐに起業準備を始めたんです」

小山氏は、すぐに知人のWebデベロッパー・多田康造氏に声をかけて一緒に起業の準備をスタートした。帰国して法人設立の準備に取りかかり、思い立ってから約2カ月後にはサービスサイトを立ち上げて事業スタートに至った。
「何人かの人に相談しましたが、今思えば自分の中で起業すると決めていた気がします。自分の『行ける！』という直感を信じたかったのかもしれないですね（笑）」

共同起業の強みを活かし、サイト全体のクオリティーで差別化

本気で事業としてやるなら法人化しようと決めていた小山氏。FirstStepで会社設立した理由についてたずねると、チャットワーク株式会社・山本敏行氏がブログでFirstStepを紹介していた記事を多田氏が見ていたからだという。
「価格も安くて、対応も良くて、かといって堅苦しくないところが気に入って決めました。実際にお願いしてみると、基本的な連絡のほかに資料もPDFにしてチャットワークでアップしてくれるので楽ですし、とても満足しています」

事業サービス立ち上げにあたっては、競合他社との差別化を図るべく、販売窓口となるWebサイトの作り込みに力を入れた（4月にリニューアル予定）。
「競合他社はWebサイトのクオリティーが低いと感じていました。そこでWebデベロッパーである多田が、WebデザインはもちろんSEOやソーシャルネットワークの活用も含めて出来る限り作り込み、Webサイトが集客機能を果たすと同時に、安心感や信頼感を演出するように心がけました。そして今後も改良を重ねていくつもりです」

さらに商品プランの面でも差別化を図っていた。
「価格的には競合他社とさほど変わりませんが、サービスのプラン数を多くすることでユーザーの選択肢を増やすようにしました。当社なら、あらゆる日程や使い方にマッチしたプランが見つかるようにしたかったんです」

起業は瞬間ごとに決断する『覚悟』が必要

国の施策としてインバウンド（訪日外国人）を増やそうとする日本において、eConnect Japanのビジネスには追い風が吹いているように見えるが、状況はそう簡単ではないようだ。
「今後は大手企業もインバウンド関連事業に参入してくる可能性が高い。当社の強みを生かせる事業の柱をさらに複数作る必要性を感じています」

さらにビジネスをする上で大切にしていることについて、小山氏にお話をうかがった。
「いかにホスピタリティの意識を持ってビジネスに取り組めるか、ですね。たとえメールの返信や通信キットの封入作業といった単純作業でも、お客様に対するホスピタリティの心を持って取り組めるか。人として大事だと思いますし、その気持ちがお客様に伝わればリピートにつながると考えています」

最後に、これから起業しようとする人々に伝えたいことを話していただいた。
「人生を振り返った時に『これで良かった』と納得できる判断をすることが大切ではないでしょうか。起業してその想いに至るには、瞬間、瞬間を決断する『覚悟』が必要。決断するのは自分だからこそ、己の心に素直に従って行動することが起業成功への最短ルートだと思います。私自身、そうした想いを持って世の中の問題や不便を一つでも解決し、社会に貢献していきたいと考えています」