車のガラスコーティング＆車内清掃業で起業

障がい者が働けるカーケアショップを作るべく起業

阪和道の堺インターチェンジのすぐそばにある『車のお手入れ専門店 ダカーポ』は、カーコーティングや洗車、車内清掃などにおいてワンランク上の仕上がりを提供するカーケアショップだ。運営するReversal株式会社の代表取締役・野田隆広氏は、起業前には福祉事業法人で働く福祉職員だった。
「知的障がい者の通所施設を運営する社会福祉法人で働いていました。そこで事業の一環として障がい者による出張洗車事業の立ち上げを経験しました。さらに洗車薬剤・施工方法の開発などを行いながら、障がい者が働けるカーケアショップを立ち上げ・運営に携わったんです」

このショップはテレビ取材なども多数受け、見事に地域一番店を獲得した。
「コーティング作業などは、作業する障がい者でも変化を実感できます。しかもお客様から『すごいね！』『ありがとう！』といった言葉を直接いただける仕事。障がい者が自信をつけて成長できる仕事だと実感したんです」

だが、社会福祉法人での運営には限界があり、カーケアショップは閉店に。
「ならば、自分で障害者が働けるカーケアショップを立ち上げようと起業準備を始めました。障がい者が働ける環境を整備しようとすれば、必ず行政との関わりが出てきますし、事業への覚悟を示すためにも法人化することに決めました」

現在は、まだ正式雇用は実現しておらず、NPO法人Road&Skyの就労移行支援事業所『Worksすぎな』との事業提携を通じて派遣された2名をスタッフとして受け入れている。

自信だけは決して失うな！

起業を決意した野田氏は、まず多くの起業勉強会に参加した。
「起業勉強会では、経営について学ぼうと思っていました。そのひとつでFirstStepの方と出会い、名刺をいただいていたんです。それがご縁で、会社設立をお願いすることになりました」

誕生したカーケアショップ『車のお手入れ専門店 ダカーポ』は、2つの目標を掲げている。
「よく『二兎を追うものは一兎を得ず』と言いますが、私たちはあえて二つの目標を追っています。ひとつはお客様に本物のサービスや技術を提供することです。『確かな品質をより安く、皆さまの暮らしの身近なものへ！』を目標に、独自の施工スタイルを開発しました。もうひとつは障がい者がイキイキと働ける場所を提供することです」

『本物の提供』と『障がい者雇用』の両方を実現するべく奮闘する野田氏に、ビジネスにおいて大切にしていることをうかがった。
「決して自信を失わないこと。お客様が少ない起業直後は自信を失いがちで、単価を下げてでも仕事が欲しくなりました。しかし事業を継続するには、本当に良い物を適正な価格で提供しなければなりません。自信は自分で作るもの。決して安易に妥協したり、安売りに走ると、後で必ず苦労しますから」

売れる仕組みを作らないと、良い商品でも売れない

これから起業しようとする人に向けてアドバイスをおうかがいした。
「良い商品だから売れるのではなく、売れる仕組みを作らなければ売れません。実は私、ここを一番疎かにしていました。要は起業を突き詰めて考えていなかったんですね。おかげで起業直後はかなり苦労しました」

経営、技術、障がい者雇用といった視点から、今後の目標をおうかがいした。
「我々のカーケアショップ『車のお手入れ専門店 ダカーポ』を来年の年末には予約のお客様で埋まるショップにして、北摂エリアへの新店舗出店を目指します」

ショップで提供する技術も、常に進化を目指している。
「本物の技術を適正な価格で提供することにこだわり続けます。今、車の表面を守るのはコーティングだけですが、カーラッピングやプロテクションフィルムといった最新技術も、気軽にご利用いただけるよう知恵を絞り続けます」

そして最後は、障がい者の雇用について目指すところをおうかがいした。
「実は、FirstStepさんにサポートしていただき、障害者が働けるカーコーティングおよび車内清掃専門店の運営という事業テーマで、平成24年度創業補助金（地域需要創造型起業・創業）の交付認定を受けました。お客様の信頼を大切にし、行政や就労支援施設の方々に協力していただきながら、本格的に障がい者の雇用型施設実現に取り組んでいきます」