クライアントの満足のために、働く環境を整える
ソフトウェアの受託開発を行う株式会社リンコード。代表取締役の里山典彦氏は、4人のスタッフを率い、現在は音声認識関連のプログラム開発をはじめとしたアプリケーション開発やサーバシステムの構築、ソフトウェアの高速化や高性能化などに取り組んでいる。
「ソフトウェア開発の初期段階から参画することも多く、我々から提案を重ねながらクライアントと一緒に取り組むことも。素晴らしいクライアントに恵まれ、当社も良きパートナーとなることを目指して仕事に取り組んでいます」
起業のきっかけは、働いていた会社が事情により事業停止すると聞かされたためだ。
「私自身、エンジニアとしてのキャリアを重ねる中で、エンジニアが幸せになれる環境が欲しければ、自分で作るしかない、と起業を考え始めた頃でもありました」
里山氏が考える『エンジニアが幸せになれる環境』とは、常に高いレベルを目指して仕事に取り組みながら成長でき、周囲のサポート体制もしっかりと整っている、そんな環境だ。
「当社では、クライアントと当社エンジニアがダイレクトにコミュニケーションする機会も多いですから、イキイキと働いてもらうには、まず社内の働く環境を整えないと。そうした環境から生まれた仕事の成果が、クライアントの『助かった』『良かった』という言葉となり、それがスタッフの励みになりますからね」
わかりやすい説明が好印象で、FirstStepに依頼
急ぎで会社を設立する必要があったため、インターネットで検索して見つけたFirstStepに問い合わせして訪問した。
「最初は外部の方と一緒に起業しようと考え、会社設立の方法などについて聞こうと訪問しました。とてもわかりやすく説明してもらえたのが好印象で、依頼しようと決めました。最終的には、私が単独で起業する形になりましたが、的確にフォローしていただけましたね」
リンコードを設立し、実際に経営者になって最も変化したのは『頭の中』だった。
「四六時中仕事のことを考えるようになって、精神的な休日はなくなりましたね(笑)。実は両親も自営業を営んでおり、子どもの頃から経営者である父の姿を見ていました。だから経営者の大変さや厳しさは分かっていたつもりですが、いざ自分が経営者になると外からは見えない大変さとやりがいを感じますね」
そんな里山氏が仕事を進める上で最も大切にしていること、それはエンジニアならではの感覚だった。
「スタッフには『エンジニアはサービス業だ』と言っています。ただ、職人気質を失ってもいけません。単に言われたモノを作るようになってしまいますし、技術レベルを上げていくには職人気質も必要。常に自分を磨きながらも、独りよがりにならずにクライアントの現場のために仕事を進めていかねばならない。エンジニアはそのバランスが重要だと思います」
あらゆる仕事は、人のつながりで成り立つ
常にクライアントの現場を大切にすることを意識している里山氏に、もし起業を考えている人からアドバイスを求められたら何を伝えるか尋ねた。
「やはり人脈です。もし起業を志す方が読んでおられるなら、そこは大事にするべきだと思います。特にエンジニアの世界は、デザインもプログラムも、とシステムを全部一人で構築できる人は少ないですし、ましてや営業活動まで、となるとさらに少なくなります。自分に足りない能力を補ってくれる人やクライアントとのつながりなど、さまざまな人脈が必要になります。システム開発も分業化が進んでいますからね」
最後にこれからの目標についてお話をうかがった。
「今のビジネスモデルは受託開発が中心。今後は一歩進んで、自社商品の開発を目指し、それが営業活動の一環になったり、最終的には収益につなげるような試みに取り組もうとしています。ただ、自社商品の開発は、受託開発とは異なるノウハウが必要なことも分かってきました。もちろん受託の仕事はしっかりと成果を出し続けながら、新たなノウハウを蓄積していきます」
個人の目標についても話を聞くと、新たな人脈を広げていきたいという。
「今の人脈は、今の仕事につながっています。今後は、未来に向けた新しい人々との出会いにも積極的に取り組んでいきたいですね」
担当者より
里山社長は、お会いしてすぐに物腰が柔らかく誠実な方だなあと感じさせる雰囲気をお持ちの社長です。しかもお話をすると、それだけではない方だということもすぐに伝わってきます。
お会いしてすぐに取引条件が自社に及ぼす影響を考えになられるなど、起業する意識を持った直後から会社経営について真剣に向き合っていることが伝わってきました。
これからも、会社経営に真剣に向き合う里山社長の支えになれれば幸いです。(中谷 洸太)