リストラの荒波を乗り越えて起業

リストラから起業へ

電気、電子、機械、化学業界といったメーカーにおける開発者や次世代先端技術の研究者の中でも、年収1,000万円以上のハイクラスエンジニアに特化した転職支援を行うコアキャリア株式会社。代表取締役の塚本隆宏氏は、長年に渡って大手機械メーカの電気系エンジニアとして働き、人材系企業での業務は未経験にも関わらず転職支援事業で起業したという異色の経歴を持つ。
「実は大規模なリストラに巻き込まれて、当時は家族の事情もあって退社するしか道がありませんでした。その時に会社から紹介された転職支援担当が、今当社で働いてくれているコンサルタントだったんです」

優秀な転職コンサルタントのサポートを受けながら転職活動を行った塚本氏。だが、時代背景もあり自身のステップアップとなるような転職は難しいと感じた。そこで、起業で自分自身をステップアップできないか考え始めた時、コンサルタントに相談をしながら、あることに気がついた。それは技術について理解している人材コンサルタントが少ないため、ミスマッチが起きたり転職希望者が不満を感じるケースが多いのでは、という想いだった。そんな折、担当の人材コンサルタントが独立を考えていることを知り、転職支援の企業を立ち上げようと決め、声を掛けた。
「エンジニアが転職支援の最前線でマッチングに関わることで、クライアントにも転職希望者にもメリットがあり、他社との差別化もできると考えました。エンジニアの転職をお世話するなら、エンジニアの知識が豊富な人の方が圧倒的に良いマッチングができますからね」

密なコミュニケーションで『三方良し』

起業を決意した塚本氏とFirstStepの出会いは、インターネットだった。
「インターネットで検索するとたくさんの企業が出てきたので、4社ほど事務所におうかがいしました。実は、最初にお伺いした時のFirstStepさんの印象が非常に良かったんです。対応してくれた方が丁寧に時間を掛けて説明してくれて……。また、申告時の書面添付など、税務署に対する対応まで丁寧に説明してくださったのはFirstStepだけでした。お願いすることに決めたのは当然の流れでしたね」

未経験の事業で起業した塚本氏が、ビジネスに取り組む中で大切にしていることを尋ねた。
「人材とクライアントと当社が、しっかりと『三方良し』の関係を構築すること。そのためには、転職を希望する技術者とのコミュニケーションを密に取ることを意識しています」

転職希望者の本音を聞き出して転職先企業の選定や支援にいかに生かすかが、転職支援コンサルタントの腕の見せどころ。
「ハイクラスの方を対象にしているので、比較的年齢が高い方が多い。ですから自分のことだけを考えて転職する人は少なく、家族や両親といったプライベートな部分も大いに影響する人が多い。事前にそういった情報を把握しておくことが、『三方良し』の転職支援につながりますから」

経営者の学びは起業成功に直結する

これから起業を考える人へのアドバイスをお願いすると、『会社は自分の分身のようなものです』と塚本氏。
「アドバイスは3点あります。会社をしっかりと成長させるには、しっかり育てないといけない。それには会社を動かす経営者自身が勉強しなければなりません。企業のこと、税務のこと、プロにお任せするつもりでも最低限の知識がないと質問すらできませんからね。2点目は、常に最悪のシミュレーションを考え、それに対応する準備をしておくことですね。『備えあれば憂い無し』です」

最後のアドバイスは『勇気を持ってアクションすること』だという。
「転職希望者の中にも『いつかは起業を』と考えている人は多い。転職しても起業への想いはなかなか消えることがありません。これを解消するには起業するしかない。勇気を出してアクションしてもらいたいですね」

最後に、今後の展開についてお話をうかがった。
「転職支援事業はしっかりと着実に成長させていきます。ただ人材ビジネスはグローバル化し、景気の影響を受けやすい。しかも一人の転職を実現するのに、約半年以上の時間を必要とするのも事実です。会社経営をより安定させるためにも、例えば環境関連事業のような人材事業とは別の事業の柱をもう一本立てたいですね」