特定の先輩カメラマンに師事せずに独立起業
企業や病院、学校などへの出張写真撮影をはじめ、動画やドローンでの撮影、Web制作などをおこなう久岡写真事務所。代表の久岡健一氏は、フリーカメラマンとして11年以上のキャリアを持つ。
「それまでも父親のカメラで写真撮影をしていましたが、初めて自分でカメラを購入したのが高校2年生の頃。当時は学校にカメラを持ち込んで学生生活を撮影していました。カメラマンの仕事に憧れたのもこの頃です」
その後、専門学校で写真を学び、本格的にカメラマンの道を志すことに。通常、師事する先輩カメラマンへの弟子入りを経て独立するカメラマンが多い中、久岡氏は誰にも師事することなく独立起業して活躍している。
「専門学校在学中は積極的に専門学校のイベントを手伝い、多くの先生と仲良くなりました。先生の多くは現役のプロカメラマンでしたから、卒業後は専門学校の先生をはじめ多くの先輩カメラマンのアシスタントをしながら現場経験を積みました。特定の師匠はいませんでしたが、多くの先輩たち皆が師匠でしたね」
アシスタントとして撮影現場を数多く経験するうちに、先輩カメラマンがクライアントとなる広告代理店を紹介してくれた。
「専門学校時代からの人と人のつながりが、独立起業やカメラマンとしての成長に大きな役割を果たしてくれました。当時はフィルムとデジタルの端境期。私は学生時代からデジタルカメラを使っていたので、少しずつデジタル撮影の依頼が舞い込みはじめ、徐々に『カメラマン・久岡健一』としての仕事が増えていきました」
新しい取り組み「チームでの活動」にも挑戦
今取り組もうとしているのは、カメラマン数人とともにチームを組織してWeb上でプロモーションを行うWebサイトの構築。
「ユニットほど強くない『チーム』というつながりで、カメラマンの個性を出しながらお互いに協力して仕事に取り組む活動です。具体的には、広告写真撮影のご依頼をWeb上でご依頼いただける『PRフォト』というWebサイトを立ち上げます。Web上で写真テイストやカメラマンの略歴などを伝えることで、依頼しやすいWebサイトを目指します」
新しい試みにも積極的に挑戦する久岡氏が仕事で最も大切にしていること、それは『時間』だ。
「撮影はできるだけ短時間で終わらせるように心掛けています。特に人物写真では、良い表情が欲しくて長時間粘るカメラマンが多いですが、撮られる人は時間が延びるほど負担が大きくなります。できるだけ短時間で求められた品質の写真を撮影する。それがプロの技術だと思います」
また、常に撮られる人の気持ちを大切にしたい、とも。
「撮られる人にとって、撮影はストレスフルな時間。でも、そんな苦しい時間だからこそ、少しでも短く、楽しく過ごしてもらえるように意識しています。良い写真を撮るには、それが一番大切だと思っていますから」
「カメラマンはサービス業」の意識が必要
カメラマンとして独立起業を目指すなら、撮影技術以上に必要な要素がある、と久岡氏。
「良い写真を撮る能力は当然のこと、加えて高いコミュニケーション能力と一般常識が求められます。私自身、カメラマンの仕事はサービス業だと考えて仕事に取り組んでいます。写真以外の要素でカメラマンを変更するお客さまも少なくないと聞きます。だからこそ『久岡さんにお願いしたい』と指名で依頼をいただくと本当に嬉しいです」
また、独立起業する際に先輩カメラマンのひと言をずっと忘れずにいるという。
「それは『絶対に値下げをするな』というひと言。それでも独立起業した最初の頃は、値切られると了承していました。でも経験を積むうちに『カタチのないものを売るからこそ、クライアントのためにも安売りしてはいけない』と感じるようになりました」
今後は動画撮影やドローンでの撮影、さらにはWebサイト制作など、出張撮影以外のジャンルにも力を入れていく予定だ。
「カメラマンの視点を持つ自分だからこそ作れる動画やドローン撮影、Webサイトがあるはず。そんな思考を持つようになったのは、本町のコワーキングスペース『オオサカンスペース』に入ってからですね。さまざまな人が集まってコラボレーションできる環境があり、仕事の幅も広がりました。クライアントも制作のコラボも『人』がすべて。人との縁を大切に仕事を続けていきたいですね」
担当者より
カメラマンとしてのみならず、現在はたくさんの取り組みを始められている久岡様。 仕事の幅を広げつつ、軸のある考え方や行動を尊敬しております。 今後の展開に、私たちが少しでもお役に立つことができればと心から思っております。 今後ともよろしくお願いいたします。(澤田 恭平)