倫理を大切にしながら起業

3つの柱となる事業を構築

人材ビジネス事業、介護資格養成学校事業、通所・居宅介護事業の3つの事業に取り組む株式会社ラヴェリオリンクスタッフ。まずはメイン事業の人材派遣事業について、代表取締役の稲野和之氏にご説明いただいた。
「単にお客さまの会社に人材を派遣するだけではなく、働いている社員のモチベーション向上など、人材を通じてお客さまの会社や人材を変革するコンサルティング的な要素も含んでいます。現在はオフィスや介護施設への派遣がメインとなっています」

介護資格養成学校事業は、現在『関西福祉学院』として8つの教室を運営している。この事業は、稲野氏が人材派遣事業に取り組む中で、ずっと描いていた想いが実現したものだという。
「資格を取得して、就職先を紹介してもらい、直接世の中に出て働くところまでワンストップでサービスできる環境を実現したかった。生徒さんや派遣先のお客さまが安心でき、弊社の事業にもプラスになる『三方良し』の関係が構築できると考えました」

通所・居宅介護事業は、関西福祉学院を卒業した生徒が働ける場を安定的に提供するとともに、社会貢献を実現する第一歩として取り組んでいる。すでに、ケアプランセンターと訪問介護ステーションを組み合わせた施設『はぐみ』を大阪市・十三にオープンさせた。
「ようやく3つの事業の柱ができました。今後は、各事業を成長させつつ相乗効果を生み出すことを目指します」

人としてあるべき姿『倫理』を大切に起業せよ

現在は、経営者として活躍する稲野氏は、複数の仕事を経験した後に人材派遣の会社に入社したことが、人材派遣事業に関わるきっかけだった。
「当時はサラリーマンとして働いていましたが、仕事が面白くないと感じていました。そんな時、以前働いていた会社の上司が自分の会社で働かないかと誘ってくれたんです。それが縁となり、新たに人材派遣部門を設立してもらい、事業部長として働くことになりました」

結果、事業化は成功したが、多くの退職者を出すなど組織としては未熟だった。そんな時にある研修に参加し、大きな気づきを得ることに。
「自分自身に対する甘さに気づいたんです。それ以降は、生きる価値や意味、存在価値、さらには発する言葉の一つひとつにも責任を持たねばならないと考えるようになりました」

こうして自身の内面的にも再スタートを切った稲野氏は、次第にこの事業部を自分の理想とする組織にし、社員全員をさらに幸せにしたい、と考えるようになった。
「2007年には入社前から約束していた人材派遣部門の分社化を実施してもらい、さらに2010年には全株を買い取り、名実ともに私の会社にしていただきました」

どの事業においても、取り組む上で大切にしているのは『倫理』だという。
「人としてあるべき姿、これが一番大切。あと、仕事は収入を得る手段であるとともに、知恵を得て人間的に成長する上では大切な学びの場であると意識することです。仕事を通じてよく学び成長するには、倫理は必須です」

『自分のため』を最優先すれば、起業は必ず失敗する

これから起業しようとする人へのアドバイスをお願いすると、「それはもう、頑張れ！のひと言ですよ（笑）」と言いつつ、起業準備をする上で大切なメッセージをいただいた。
「物事を大きなくくりで捉えて欲しいですね。社長仲間と話をしていると、最終的には『社会に貢献するためにこの事業をやろう！』といった話になります。これから起業しようとする皆さんは、この事業が好きだから、収入が増えるから、だけではなく、社会貢献をするという意識を持って起業すれば、成功する確率は絶対に高くなるでしょう。逆にズレてしまうと、誤った方向に進んでしまう。『自分のために』を最優先すると、必ず失敗します」

最後に今後の展開についてお話をうかがった。
「人材事業は研修をさらに充実させ、介護資格養成学校事業は介護の資格全般が取得できるように取り組むとともに、資格取得者をしっかり社会に送り出していきます。そして通所・居宅介護事業は、地道に『はぐみ』の展開を進めていきます」

そして3つの事業を組み合わせて、『仕組み』を作りたい、と。
「資格が取得できて、その資格を使って働く場所まで提供するのはもちろんのこと、資格を取得することをゴールにするのではなく、その資格を使って働くことでどんな人生にしたいのか、何を為すべきかまでを見つけられる『仕組み』を作りたい。そうすることで、ラヴェリオリンクスタッフに関わるすべての人々を輝かせたいですね」