弟から事業の引継をお願いされて経営者に
大阪・難波、日本橋でピアノやエレクトーンなどの鍵盤楽器をはじめ、ギター&ベース、ウクレレなどの弦楽器やその周辺機材などを扱う楽器店『テイクオフ』を運営する株式会社テイクオフ。難波オフィス代表の南千里氏は、31年前に兄が設立し、7年ほど前から弟が運営してきたこの会社を引き継いだ。
「弟が東京に新店舗を出店するにあたり、生活の拠点を東京に移すため、大阪の店舗を引き継いで欲しいとお願いされました。最初は固辞していたのですが、自分がやるしかないと考えて引き継ごうと決心しました」
引き継いだ当時はバンドブームが下火になり、店舗の主力商品だったギターやベースなどの売れ行きが若干下がり始めた頃だった。
「当時は弦楽器、しかも高価格帯のものを中心に扱っていました。それがバンドブームが下火になったことで、売れ筋商品がどんどん変わり、それに合わせて扱う楽器の種類や比率も変わっていきました。その核となったのが、弟が始めていた中古電子ピアノの取り扱い。これがヒットしたことで、鍵盤楽器の販売がメインになったんです」
顧客満足の追求を最優先に
FirstStepとの出会いは、弟が別会社を立ち上げた時。
「FirstStepを利用して会社を設立しました。その後、新しい会社もテイクオフもすべて中央会計さんに税務面のサポートをしていただくことになりました。それ以来のお付き合いですから、もう6〜7年のお付き合いになります。サポートしていただき、とても助かっています」
弟から会社を任されるという予期せぬ出来事をきっかけに、企業経営に取り組みはじめた南氏。ビジネスに取り組む上で、最も大切にしていることについて尋ねた。
「顧客満足を最優先に考えることでしょうか。楽器販売の特性かもしれませんが、お客さまは説明やアドバイスを求めてお店に来られます。その期待に応えられて満足していただければ、後日お客さまが再び来店されて楽器を買ってくださる。楽器販売においては、お客さまの満足を考えて行動できるかどうかが最も大切なのです」
そうしたお客さまのことを考え、『テイクオフ』の店頭に立つスタッフは技術者が中心。
「新品でも機種ごとに性能や特徴が異なるのはもちろん、中古になると楽器ごとの個体差も大きい。お客さまの用途やレベルを聞きながら、技術者としての知識を活かして最適な楽器をアドバイスさせていただいています」
スタッフには、特に「聞き上手になれ」と口酸っぱく言っているそう。
「聞き上手になればお客さまが見えてきます。まずは聞き手に回ることで、お客さまの購入意欲や技術、予算など、こちらが聞きたいことをお客さまが自然に話してくれますから」
いつかは海外で楽器教室を開きたい
これから起業しようと考える人へのアドバイスをお願いすると、「お客さまの立場になってものを考えること」という言葉をいただいた。
「お客さまの購買意欲や信頼感は、私たちの言葉や態度、行動ひとつで変わってきます。どんな仕事であっても、常にお客さまの立場になって考え、お客さまのためになる情報をきちんと伝えられるようになるべく、日々の勉強が大切だと思います」
今後の展開について話を聞くと「海外展開」という大きな話をうかがうことができた。
「現在、ベトナムなどのアジア圏に電子ピアノを輸出するお手伝いをしています。アジア圏を中心にニーズは高まってきていて、ベトナムなどでも電子ピアノを置く一般家庭が増えています。中古の電子ピアノが給料の3カ月分ほどするのですが、それでも着実に広がっています。こうした流れに乗っていければ」
最後に、南氏ご自身の夢をうかがった。
「どこか海外の国で、楽器教室を開きたいですね。なんならその国に永住してもいいかな(笑)」
担当者より
テイクオフ様は日々の売上仕入れから都度会計ソフトに入力を行い、業績を把握しておられます。目標の粗利まで、現在確定しているのが〇〇円で今商談中が2件あるので、あと〇〇円足らない。というのが会話でスッとでてきます。なんだかんだと言いつつも最終的には目標の粗利金額を達成しております。目標に必ずコミットする経営者として尊敬できる方です。南様もおっしゃっているように最近は海外に目を向けてらっしゃいます。自分が海外で居住して事業をやってもいいとおっしゃっております。南様の将来ビジョンをかなえられるように私も微力ながらサポートさせていただきたいと思います。(澤 和樹)