店長だった美容室を譲り受けて起業

突然やってきた独立のチャンス

近鉄大阪線・河内山本駅近くにあるヘアサロン『DRESS』を経営する代表・中西渉氏は、自身もスタイリストとして16年のキャリアを誇る。周辺に住むお客様が家族全員で通ってくれるそんな地域密着型のサロンをめざしている。
「このお店は独立前に働いていたサロンの2号店で、私がオープン時から店長を任されていました。ある時、オーナーからこのお店を譲ってもらう話をいただきました。以前から何となく言われていましたが、決断の時が突然やってきた、そんな感じでしたね（笑）」

悩んだ結果、店舗を譲ってもらい、自分の店としてやっていく決意をした。
「やはり美容師になった頃から、いつかは自分の店を持ちたいと思っていました。また、店長として働く中で『こうすればもっとお客様が喜んでくれるのに』といった『欲』のようなモノが出てきたんです。そうしたタイミングで独立の話をもらい、これがチャンスなんだと思えたので挑戦することにしました」

これまで店長として働いていた店を今度は自分の店として運営していく……それは一から店を立ち上げるのに比べるとリスクは低く、自分はラッキーだったと語る中西氏。
「お客様もお店についてくれていますし、ある程度売上の見通しが読める状態でスタートするので、完全に新規でお店を立ち上げる方よりも少し気持ちが楽だったかもしれません。しかし、不安や心配は多少ありましたね」

将来の拡大をめざして会社設立

前職の美容室の顧問先だったつながりで、譲り受けた当初から現在までDRESSも中央会計に会計面を見てもらっている。
「お金に関する部分はまだまだ勉強不足。それでも安心できるのは、スタッフの皆さんが素晴らしいから。チャットワークやLINEでマメにコミュニケーションが取れ、気心が知れているからだと思います。営業終了後の夜遅くに質問内容をチャットに入れると、翌朝には回答が返ってきます。思いついたらすぐに質問ができて、レスポンスが早いのはとても助かります。もちろん会社設立もFirstStepさんにお願いしました」

個人事業主から法人にしたのは将来を見据えて、と中西氏。
「将来的にはスタッフを増やして、お店の数も増やしていきたいと考えるようになったからですね。そのためには、改めてスタッフが長く働ける環境整備の必要性を実感し、その一環として法人化を決意しました」

また、法人化をきっかけに「あったらいいな」と思ったサービスをどんどん具現化していきたいという。
「イベントなども開催していきたい。集客や売上のためじゃなくお客様サービスの一環だと考え、楽しめるものを作っていければ」

ライフスタイル全般を提案できる美容室に

これから独立や起業をしようと考えている人へのアドバイスをお願いした。すると「私のケースはあまり参考にならないですから」と言いつつも『信頼』というキーワードが返ってきた。
「信頼は非常に重要であり、同時に大きな武器になると改めて感じました。独立時、これまでのお客様の信頼があったから資金調達できましたし、今も多くのお客様に来ていただけています。反面、信頼を失うのは一瞬なのも忘れてはいけない。わずかでも慢心が出るとお客様はすぐにそれを見抜き、築いてきた信頼は一瞬で崩れ去ってしまいますから」

そうならないために、飽きずに満足してもらうにはどうすれば良いかを常に考えているという。
「ヘアサロンとしては、常にヘアスタイルにご満足いただくことは当然のこと。加えて、ヘアスタイル以外の面でも満足していただくことが必要だと考えており、その一環がイベントやまつげエクステ、託児サービス、七五三撮影サービスといった付加サービスの充実だと考えています」

最後に今後の展開について話をうかがった。
「美容室を中心としたコミュニティがあるので、それを生かしながらお客様のライフスタイル全般を提案していきたいですね。例えば、お客様と行く旅行を企画したり、サロンでお客様向けの英会話教室を開いたり。私たちを飛び越えてお客様同士がつながるようになれば面白い。みんなで運動会なんかも、できたら面白そうですね（笑）」