愛犬用ご褒美(おやつ・おかず）の企画・販売で起業

すべて自分の責任と判断で事業に取り組みたいと起業を選択

愛犬用ご褒美ブランド『やみつき覚悟。』の企画・販売を行うPlainTreats（プレーントリーツ）。代表の篠田昌克氏によると、『やみつき覚悟。』は素材の旨みがダイレクトに伝わる愛犬用のおやつ、おかずをめざして作りあげた商品だ。
「もともと求人の営業をしていましたが、さまざまな業種の会社を担当する中で営業活動するうちに食の世界を極めたいと考え、こだわり食材を扱う食品会社に転職しました。ある日、商品を納入していたお客さまから『こんな安心安全のこだわり食材を使って、うちのペットに食べさせてあげられるものはないの？』と聞かれたのが事業のきっかけとなりました」

そして篠田氏は新規事業として社内に立ち上がったペットフード事業のマネージャーとして事業を統括することに。さまざまな試行錯誤の上で誕生したのが、現在発売している愛犬用おやつに近いものだった。だが、販売店も徐々に増えてきた頃にリーマンショックが発生し、会社は事業撤退の判断を下す。
「納品していた販売店様から『事業を継続して欲しい』という話を受け、社内で事業継続の検討もされましたが、最終的に私が独立起業して事業を引き継ぐことに決めました」

想定外のタイミングでの起業だけに、準備もほぼゼロ。それでも篠田氏は自分でやりたい想いが強かった。
「『もう少し経験を積んでから起業』という想いはありましたが、会社の都合や世の中の景気といった外的要因で、事業撤退するような経験は二度としたくなかったし、商品を心待ちにしてくださっている飼主や愛犬、店舗の皆さまが数多くおられます。すべて自分の責任と判断で取り組むには起業しかないと考えました」

愛犬向け商品でも、最後は人と人のご縁がモノをいう

篠田氏が中央会計と出会ったのは、担当者を通じて。
「個人事業主として起業し、最初の1年は経理作業を自分でやっていました。ただ、仕入れ先も納入先も数が多く、なおかつ自分が経理は苦手だとがわかったので会計事務所にお願いしていたんです。お世話になっていた担当者が中央会計に転職すると聞き、自身の判断で私も中央会計に移ることにしました」

現在は個人事業だが、将来的にはFirstStepを利用して法人化することも視野に入れている。
「大手取引先との取引や社会的信用という点では、小さなお店にとって法人は強力な武器になることを実感してきました。いずれは法人化を実現したいですね」

「素材の旨みを愛犬も感じてくれると信じている」と語る篠田氏が、ビジネスに取り組む上で大切にしていることをうかがうと、意外にも『人間力』という答えが返ってきた。
「愛犬用おやつという商品で繋がったご縁であり、『人と同じように愛犬が食するものも選んでほしい』という想いが大前提にあります。しかし、販売店さんも飼い主さんもご導入やご購入の判断するのは人間。素晴らしい商品を提供するのは当たり前。その良さを伝えてお取扱やご購入いただくには、最終的に想いであったり人間力が必要になります」

愛犬のために『やみつき覚悟。』を購入してくれるお客さまはもちろん、販売店や生産者の方々に喜んでもらうことが大きなモチベーションになっているそうだ。
「私たち、愛犬家の皆さま、生産者や販売店の皆さまという『三方良し』の関係を強固にしていきたいですね」

ブレないビジョンが窮地を救ってくれる

これから起業しようと考える人に向けてメッセージをお願いした。
「自信とブレないビジョンを持ってビジネスに取り組むことだと思います。自分が思い描いた通りに行かない時、どう自分を律して軌道修正するか。軌道修正するには、必ずブレない軸が必要になりますから」

起業すると思い通りにいかないことの方が多い、と話す篠田氏。
「思い通りにいかない時にこそ、プロや同志、仲間、先輩等とのコミュニケーションが大切になります。何気ないひと言が、問題解決の糸口になることも少なくありません」

最後に今後の展開について話をうかがった。
「2018年6月に、実店舗がオープンしました。この店舗はブランドの世界観を発信したり、お客さまの声を直接うかがうなど、アンテナショップとしての役割がメイン。ここで実験したりチャレンジした結果をビジネスに生かしたり、お取引先様と共有したい。そして、今以上に全国各地に『やみつき覚悟。』の販売店を増やしていきたいですね」