ハンモック専門店の卸・販売で起業

展示会で発見し、ハンモックに惚れ込んだ

ハンモックやアウトドア用品の卸売や販売を行う株式会社キュリアス。代表取締役の前澤智彦氏によると、アウトドアショップやインテリアショップ、さらには住宅展示場運営会社などへの納入実績に加え、ECサイトやイベント出店での販売など、販売ルートは多岐に渡る。
「ハンモックとの出会いは、前職の貿易商社に勤めている時でした。当時は、和雑貨やアジアン雑貨を中国から仕入れていたのですが、新商品を探そうと参加した中国での展示会でハンモックと出会ったんです」

前澤氏は、サンプルのハンモックを見た瞬間に「これは売れる！」と確信した。
「早速取り扱いを始められるよう会社に稟議を出しましたが、『商品カテゴリーがあまりにも現状の商材と違いすぎる』という理由で却下されてしまって。しかしどうしても諦めきれず、会社に副業OKの確認を取った上で、1年間は会社で働きながら個人事業として販売してみることにしたんです」

仕入れは流れも段取りも分かるので問題ない。課題はどうやって商品をお客さまのもとに届けるか。まずは感触を確かめようと、ECサイトやイベントにブースを出展して販売した。
「始めてみると結構ニーズがあり、しかもメディアに取り上げられたりして売上は順調に推移。結果的には1年を待たずに起業する決意を固めました」 晴れて個人事業主として起業した前澤氏だが、ハンモックに出会うまでは起業する気持ちはなかったそうだ。 「サラリーマン人生を謳歌するつもりでしたから。それだけハンモックに惚れ込んだともいえますね（笑）」

いつも正直に。お天道様は必ず見ている

起業後は個人事業主として5年ほど活動し、売上は順調に伸びていた。そこで、4年目が過ぎた頃に法人化を決意。
「大手企業との取引も増えそうでしたし、自分の事業をもう一歩前進させるには法人化するタイミングかな、と考えたんです。今思えば少し遅いぐらいだったかもしれませんが」

FirstStepは、同業者の知人から紹介してもらった。
「独立する前からの知り合いで順調に成長していた経営者仲間から『とても良いよ』と紹介されました。実際にお願いしてみると、思ったよりもスムーズに進めてもらえた。今も分からないことだらけですが、法人設立当時から分からないことに対して迅速にアドバイスをくれます。しかも、チャットワークなので質問する時間も選ばないし、返事もスムーズに受け取れる。助かっています」

法人化して以来、さらに大手企業からの相談や取引実績が増えたという前澤氏に、ビジネスに取り組む上で大切にしていることを聞いた。
「正直にやることでしょうか。人が見ていないところでもちゃんとやる。尊敬する人から『お天道様はいつも見ているから』と言われ、それを常々意識するようにしています。こっそり楽をした時って、その瞬間はうまくいってもあとで必ずしっぺ返しがくるもんです（笑）」

海外から商品を仕入れる都合上、日本でのビジネスでは考えられないようなトラブルに見舞われることも少なくない。
「中国やドイツ、インドネシアなどから仕入れていますが、ビジネス自体は日本人的に見ればルーズ。でも、彼らは悪気があって我々が困る事をやるわけではないことが多い。だから私自身は、それぞれの立場や慣習を尊重しながら、ビジネスをスムーズに進める潤滑油的な役割を果たそうと意識しています」

とにかくアクション！まず起業してみる

「起業はそんなに難しいことじゃない」と語る前澤氏。これから起業する人へのアドバイスをお願いすると、とてもシンプルな答えが返ってきた。
「起業したいと思ったら、まず起業してみることが一番の近道。『まずは勉強してから』とか『準備ができてから』という人もいますが、勉強しても準備しても困難にぶち当たるのは避けられないし挑むしかない。避けられる困難は、勉強しなくても避けられる程度のことがほとんど。だから、どんな困難も逃げずに真正面から向き合ってほしいですね。逃げずに向き合える人は、事業を継続的に成長させられると思いますよ」

ただし、起業を『まずは試してみる』ことも大切だという。
「いきなり仕事も辞めて退路を断って起業する必要はありません。最初はテストしてみればいい。私は副業という形でテストしましたが、ボランティアでも構わないと思います。誰にでも、失敗しても戻れる場所を確保した上でテストする方法があると思います」

最後に今後の展開について尋ねた。
「まずは周囲にいる身近な人たちを幸せにしたい。例えば、今働いてくれるスタッフには安心して働いてもらえる環境を整えたいし、お客さまには『買って良かった！』と思える商品をお届けし続けたい。これからもさらに良い商品を提案していきます」