エンジニア育成事業と営業代行事業で起業

ITと営業で事業にシナジーを創出したい！

システムエンジニアの育成、システム開発事業、営業代行事業など『ITと営業』という二つの事業軸を持つ株式会社ウェルスペック。代表取締役の大崎竜凱氏は、代表取締役に就任するまではウェルスペックの親会社でもある株式会社ルートゼロの社員だった。
「学生時代から起業したくて、入社時も『独立したいタイミングで会社を辞めさせてください』という約束をして入社したんです。今思えば本当に失礼な話ですが（笑）」

そして入社後、本当に「起業したい」と退社して起業した大崎氏。しかし、結果的に事業を畳むことに。
「今後について考えている時、ルートゼロの社長から『子会社を立ち上げるから代表をしないか』と声を掛けていただきました。それが今のウェルスペックなんです」

大崎氏はウェルスペック設立のきっかけでもある営業代行事業が、IT業界の人材不足解消の切り札になるのではと考えた。
「エンジニアになりたいという人の多くが、技術以上にコミュニケーション能力が不足しているんです。本人の意思ややる気にもよりますが、エンジニアとして成長する過程でコミュニケーション能力が磨ける営業代行に取り組むことは、エンジニア自身の価値を高めるトレーニングになると思ったのです」

社員と会社は、お互いが運命共同体

ウェルスペックはルートゼロの子会社にあたるため、税務を中央会計に依頼しているルートゼロ経由でFirstStepに会社設立を依頼した。
「私は戸籍謄本や印鑑証明などの書類関係を準備しただけで、面倒な手続きはすべてFirstStepがやってくれました」

こうして3月に設立された株式会社ウェルスペックだが、経営を始めて間もなく資金が不足する危機に見舞われた。採用を早く進めすぎてしまったのだ。だが、中央会計スタッフから融資の提案をもらい、無事に融資を受けられたことで危うく黒字倒産の危機を乗り越えた。
「資金繰りの資料や予算計画表などの書類や手続き、面談のアドバイスまで担当者にサポートしてもらいました。チャットワークのやりとりでレスポンスも早く、わからない書類は全部写真撮影して上げておけば対応を指示してくれるのは助かりました」

続いてビジネスで大切にしていることについてうかがうと、社員と会社の一体感だという。
「今後は、土肥と一緒に会社経営を進めていくつもりです。なぜなら会社は『人』がすべてで、土肥は大切なその一人ですから。土肥を含めた『人』が大きく成長すれば、会社も大きく成長します。会社を成長させるには、まず働く『人』に成長してもらわないといけません。また、社員には人生を預けてもらっていますが、会社も社員に未来を預けています。だから社員には『君が倒れたら会社も倒れる』と話しています」

取締役の土肥大輝氏は、ポジティブに働くことを大切にしているという。
「自分がポジティブに行動することで、周囲の仲間をポジティブで幸せな気持ちにしたい。将来的には自他ともに認めるツートップの一翼を担える立場となって、大崎と何でも語りあっていきたいですね」

プロの助言を判断する最低限の知識は必要

これから起業しようとする人へのアドバイスをお願いすると、二つのアドバイスがあるという。
「ひとつは経理や総務に関する最低限の知識を身につけておいた方が良いということ。もちろんプロにサポートしてもらうのですべてを知る必要はありませんが、プロのアドバイスが適切かどうかを判断できる程度の知識は必要です。そしてもうひとつは、やはり人を大切にすることですね」

土肥氏は、事業計画書の重要性についてだった。
「起業時に事業計画書を作成していましたが、結構大まかな内容だったんです。黒字倒産の危機を乗り越えて感じたのは、最初だからこそ事業計画書は細部まで徹底的に作り込むべきだったということ。また、詳細な計画を作る過程でやるべきことが明確になれば、必ず経営上の強みになるとも感じました」

最後に、今後の展開についてうかがった。
「未経験者をエンジニアに育てる活動を全国に広げてネットワークを作り、日本中のどこででもエンジニアをめざす人が学び働けるような仕組みを作りたいですね。また、社内では社員一人ひとりがやりたいことに挑戦できる社風にしたい。もちろん独立もその中に含まれていますよ」