販売支援業務委託業で起業

思い通りに事業を進めるには起業しかないと決断

携帯電話ショップの販売支援や業務委託などの通信事業を行う株式会社ENJIN。代表取締役の下村剛司氏によると、販売促進イベントの企画提案や場所の確保など、さまざまな業務を行っている。
「起業前から通信事業の仕事をしていて、説明員の教育なども担当していました。ただ、結婚を機に地元である大阪に戻ることにして、親族が役員を務める大阪の不動産会社で働きはじめたんです」

最初は不動産営業の仕事をしていたものの、すぐに不動産事業よりも通信事業の方が自分の武器を生かせると考え、経営者の許可を得て新規事業として通信事業部門をたったひとりで立ち上げることに。すると通信事業が40人程度の社員を抱えるまでに急成長したものの、成長を想定していなかった経営者と今後の方向性にズレが生じ、結果的に会社を退職して起業しようと決意した。
「自分が思うように事業を成長させるには、やはり起業するしかないと悟りました。自分には通信事業で起業するのがベストだと、認識させてくれたという意味では感謝しています」

挑戦の中で『利他の精神』を学んでほしい

FirstStepはすでに起業して税務を中央会計に依頼している友人に紹介してもらった、と下村氏。
「起業するから良い税理士はいないかと相談したら『融通も利かせてくれるし、一度話を聞いてみたら？』と紹介してくれたのがFirstStepでした。すぐに連絡して話を聞き、その場で契約すると決めました」

即決した理由を尋ねると「バックアップ体制」という答えが返ってきた。
「もちろん信頼できる人の紹介は大きいですが、それ以上に会社設立に関しては素人なので、最初は助けてもらうばかりになるはず。そんな状況下でも、しっかりサポートしてもらえると感じさせるスタッフの方々の人柄が一番の決め手となりましたね」

実際に依頼してみて、その直感は的中していたという。
「担当者の方のアドバイスがきめ細かく、電話のレスポンスも早い。税務処理や経営のことは素人同然ですから、私自身が理解できるまで粘り強く説明してくれるのも助かりました」

下村氏がビジネスに取り組む上で大切にしていること、それは『利他の精神』だという。
「人間なので自分の利益を優先しがちですが、人のために動いたことが結果的に利益として自分に返ってくるのがビジネスです。同時に『利他の精神』を備えた人をひとりでも多く育てたいですね」

社員の多くが20歳代というENJIN。スタッフの育成は大切なミッションのひとつと捉えている。
「ENJINを100年続く会社にしたいんです。成長し続ける会社にするためにも、どんどんチャレンジして失敗し、そこから成長の糧をつかみ取ってほしい。そう考えると、チャレンジする場をたくさん作るのが私の役目ですね（笑）」

農業でも社会貢献してみたい

「自分の利益だけを考えて起業する人は起業しても成功するのは大変」と語る下村氏。これから起業しようとする人へのアドバイスをお願いした。
「きれい事かもしれませんが、何かしら社会に貢献しようという意識は必要かもしれませんね。社会に貢献すれば、お金なんて勝手に付いてきますから。しかも、事業と社会貢献が結びつけば大きな成長エンジンになり、多くの仲間が集まる旗印になります。会社を成長させたいなら、そんな社会に貢献する旗印を掲げてほしい」

ENJINから業務委託を受けたスタッフは、大手企業からのスタッフよりもモチベーションが高くてポジティブだと高評価なのだそう。
「スタッフが良い人材に育ってくれることは、私の大きなモチベーション。もっと多くの人材を育てられれば、社会への貢献度合いも高まっていくはず。将来が楽しみです」

最後に今後の展開についてうかがった。
「通信事業は九州、四国、中国地方へと拡大していきます。その他にも、まだ企画段階なのですが、健常者だけじゃなく身体障がい者の方々も働ける場所として、農業事業に取り組もうと画策しています。すでに話は進んでいて、大阪府の南部で農業をしている知人とともに、施設開設準備を進めています」

もちろん社会貢献とビジネスの両方につながる農業施設にすることを目論んでいる。
「その施設で収穫された農産物や加工品をスーパーで販売したり、飲食店への納入までアプローチできたら本業とのシナジーが生まれるかもしれない。このプロジェクトには、地域活性化、食育、雇用促進、障がい者雇用など、さまざまな社会貢献が詰まっています。着実に進めていきたいですね」