家族のひと言が起業のきっかけに
スマイル・シェアリング株式会社は、プリント写真をスキャンしてデジタルデータ化するサービスで、2011年1月に起業した。
起業のきっかけは、代表取締役である樋口氏が中小企業診断士の資格取得を目指して勉強する中で、会社経営のすべてを体得したいという思いが湧き上がったことと、家族のふとしたひと言がタイミング良く重なったことから。
「写真好きの妻がデジタルフォトフレームを買い、撮影した子どもたちの写真を入れて楽しんでいたんです。昔の写真も入れていたのですが、小学校高学年になる長女が赤ちゃんの時は、まだプリント写真だったんですよ。すると長女から『私が赤ちゃんの写真は出てこないの?』と言われまして(笑)。そこで、スキャナーで一枚ずつ取り込むことにしたんですが、スキャンし始めた時、妻がつぶやいた『自分でやると大変な作業だから、スキャンしてくれるサービスがあればいいのに』というひと言にピンと来て起業を思い立ったんです」
すぐにネット上で同様のサービスを試すなどして市場を分析した樋口氏。
「ほとんどが小規模で運営されており、大手フィルムメーカーもさほど真剣に手掛けていないことがわかりました。私が想定していた通りの事業構造だったんです。これなら新規参入しても、今までのITサービス業で培ってきた経験やスキルを活かして勝負ができる、と。また、妻のひと言から起業のイメージが膨らんだこともあり、家族の反対がなかったのも大きな推進力になりました」
起業には、責任以上のやりがいや楽しさがある
FirstStepとの出会いは、前職のサラリーマン時代にさかのぼる。
「FirstStepさんにお願いすれば、会社が簡単かつ安くで設立できることは知っていましたし、スタッフの方とも面識がありました。会社設立を依頼したのはごく自然な流れでしたね。中小企業診断士の勉強をしていたので自分でも手続きできましたが、起業準備よりも事業準備に集中したくて。細かい相談にも乗っていただけて助かりました」
そして、2011年1月に起業して約半年、何が最も変わったのだろうか。
「とにかくストレスが全くなくなって、とっても気持ちが楽になりましたね(笑)。もちろん、起業するとすべての責任を自分が負うことになるんですが、逆に私にとってはそれがとても楽なんです。すべて自分で判断して、自分が責任を取る。ですから、謝るべき時は自分で判断して頭を下げます。そこには”やらされ感”や誰かの体面のために……なんてしがらみも全くありません。自分の判断で全部できるということが、私にとっては責任以上のやりがいや楽しさに繋がっているんですよ」
苦手だった朝も、仕事が多く忙しい時は自然に早起きできるようになったという。
「仕事に対するモチベーションが全然変わりました」
起業こそ、”思い通りに生きる!”ということ
今後のスマイル・シェアリングの目指すべき方向性についてうかがった。
「まだスタートしたばかりなので、迅速に事業を安定軌道に乗せることが最優先であることは間違いありません。スマートフォンやタブレットなどのデバイスが普及し、アナログデータはデジタル変換して保存することが当たり前の世の中になると、当社も大きく変化するでしょう。当社が単独で世の中を変える力はまだありませんが、世の中を変える一助にはなりたいですね。今後はソーシャルメディアなども活用し、プロモーション活動を積極的に行っていく予定です」
最後に、これから起業しようとしている人にメッセージをお願いした。
「ありきたりですが、何が起こるかわからない世の中で、やりたいことがあるなら行動することが大切だと思います。思い通りの生き方をしたいなら、起業という手法は思い通りに生きられるという点では究極の方法だと言えます。私の場合は、家族がいるので家族を守ることという視点だけはシビアに考えましたが。それさえクリアすれば、”やってみること”が一番大事だと思います。始めたばかりのこの商売もそうですが、まさに『念ずれば、いずれ花開く』ですよ」
担当者より
『すべての人にスマイルを……』とは、樋口社長が常におっしゃっておられる言葉です。
会社にお邪魔すると、いつも社長がうれしそうに、お客様の写真を1枚ずつ丁寧にスキャンしておられるので、それを見て私も幸せな気分になっています。
社長の第一印象は『真面目そうできっちりした方』でしたが、最近ではおやじギャグも飛び交うユーモア満点の本当に楽しい方だと知りました。
これからも、できるだけ多くの方にスマイルを届けてください。
皆さんもHP内の『スマイル・シェアリング度チェック』をぜひやってみてください! 思わず笑顔になりますよ。 (元村 仁美)