会社設立時の資本金
会社法改正により、会社設立が資本金1円からでもできることは有名です。
しかし、会社設立時の資本金は、これから運営していく事業の元手資金となるものです。
資本金1円で設立した会社で、月々の経費を支払うことができるでしょうか?
設立後のことを見据えて資本金の額は、決めましょう。
【最低資本金制度の廃止】
会社法改正により、資本金1円でも会社設立ができるようになりました。
会社法改正前は、最低、株式会社1,000万円・有限会社300万円の資本金が必要でした。
しかし、会社法改正による最低資本金制度の廃止により会社設立のハードルが大きく下がりました。
【会社設立時の資本金の適正金額】
会社設立時の資本金の適正金額はいくらぐらいなのでしょうか。
いろいろな考え方がありますが、次の4つの視点で考えると必要な資本金の額が見えてきます。
@運転資金としての側面
最初の売上金の入金があるまでに、通常、商品の仕入代金・家賃の支払い・給与の支払いなど様々な支払いが先行します。
この支払ができなければ、たちまち会社経営が行き詰ります。
資金繰り計画を立て、売上入金が入るまでに必要な資金を計算し、適正な資本金の額を算定します。
A対外的な側面
法務局に行くと株式会社や合同会社の謄本を取得することができます。
謄本の中には、その会社の資本金の額が記載されています。
新規取引をする際には、謄本を調べる会社もあります。
資本金1円などで設立すると、財務的に不安定な会社と見られる可能性もあります。
B融資を受けるための側面
創業時に受けることができる融資の多くに、自己資金の要件がつけられています。
例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、自己資金の2倍までの金額しか申し込むことができません。
つまり、創業時に200万円の融資が必要な場合は、少なくとも自己資金として資本金が100万円なくてはなりません。
C許認可を取得するための側面
許認可を取得する必要がある事業の中には、資本金がいくら以上ないと取得できないという許認可があります。
例えば、建設業(一般)許可は、自己資金500万円以上ないと取得できません。
許認可が必要な場合は、事前に確認が必要です。
【現物出資】
通常、出資は金銭で行われますが、金銭以外のものを出資し資本金とすることができます。これを現物出資といいます。
例えば、設立する会社で使うことができるパソコンや自動車などを時価で出資し、資本金とすることも可能です。
ただし、次のいづれかの要件を満たさなければ現物出資する財産について、裁判所が選任した検査役の調査を受けなければなりません。
@現物出資する財産の総額が、500万円以下の場合。
A市場価格のある有価証券をその相場を超えない金額で出資する場合。
B財産の価額が相当である旨の、弁護士等専門家の証明がある場合。
【資本金の額で税負担が変わる】
会社設立時の1期目・2期目は、消費税の納税義務がありません。
ただし、設立時の資本金が1,000万円以上だと1期目から消費税の納税義務が発生してしまいます。
また、法人地方税の均等割りも資本金が1,000万円を超えると金額が大きくなります。
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