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取締役は法的には株主から会社の経営を委任されているため、受任者としての善良なる管理者の注意を持って会社経営に当らなければならないという善管注意義務を負っています。
これは、役員として当然期待される常識を身につけ、日頃の経営判断や問題に対処しなければならない行動義務をいいます。また会社の業務方針に従って常に会社に対して忠実に仕事をする忠実義務も求められます。
要するに、すでに述べたような、取締役への期待を果たすために、自分を磨き、知識を身に付け、会社のために、忠実に、時には社長や他の役員の間違いを正すように職務を果たせば、義務を果たしたことになるわけです。
もし役員がこの義務を果たさず、会社に損害を与えた場合には、その役員は会社や株主から損害賠償責任を問われることになります。会社経営が順調で、経営陣もうまくまとまっており経営が安定している場合は、普通に対処していれば問題はないでしょう。
反対に、取締役の責任を果たせないと判断し、辞任することも考えられますが、この場合、自らの判断で自由に辞任することができます。ただし、辞任することによって、取締役の定足数を欠くことになった場合、新たな取締役が選任されるまでは、取締役としての義務と責任が残りますので注意が必要です。
取締役は、法的には株主から会社の経営を委託されているため、会社に対して法定の責任を負うとともに、会社以外の第三者に対しても特に厳格な責任を負うことになります。
1.会社に対する責任
取締役の会社に対する責任は過失責任と無過失責任に分かれます。過失責任は、取締役に故意又は過失があったときに限り責任を負うものです。無過失責任は、取締役に故意または過失がなくても責任を負うものです。
2.法令・定款違反の責任
取締役が法令又は定款に違反した行為をした結果、会社が損害を被ったときは、取締役はその損害を賠償する責任を負う。また、取締役が取締役会の承認を得ないで競業取引又は利益造反取引をした結果、会社に損害を与えれば、取締役の法令違反行為により損害賠償責任を負います。
3.違法配当の責任
代表取締役が、利益配当の制限規定に違反して、配当できる利益がないのに、違法に利益処分案を作成して定時総会に提出して承認を受けた結果、違法な利益配当をした場合には、当該代表取締役は違法に配当された額を会社に弁済する責任を負います。また、中間配当についても同様の責任を負います。
4.取締役の利益相反取引の責任
取締役会の承認を得て、取締役が会社と直接取引したり、代表取締役が第三者と間接取引をした結果、会社が損害を被ったときは、直接取引については、当該取締役個人が、間接取引については当該代表取締役が、会社に対して会社が被った損害を賠償する責任を負うとともに、取締役会の承認決議に賛成した取締役全員が連帯して損害を賠償する責任を負います。
5.第三者に対する責任 取締役は、会社以外の第三者である株主又は会社債権者等に対しても責任を負います。これには任務懈怠による責任、不法行為責任、虚偽記載の責任があります。
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