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相談役や顧問は、会社法上の認められた機関である代表取締役、取締役、監査役等と異なり、会社法上の機関ではありません。したがって、相談役や顧問を置くかどうかは、各会社の自由です。これらの役職を置く場合は定款でその委嘱基準とか、委嘱期間、待遇、勤務内容を定めるか、相談役規程や顧問規程でこれらを定めているのが通常です。
会社と相談役・顧問との法律的関係は、取締役や監査役と同じように民法上の委任・準委任契約に当たりますから、職務権限など会社の規程に具体的事項が定められていないときは、就任の際に取り決めておくべきです。
一般的には、取締役・監査役を退任して関係会社の常勤役員に就任した者とか、取締役・監査役を定年により退任した者とか、取締役退任前の職位が、常務・専務・副社長・社長・会長であった者とか、さらに、その他、取締役会が適当と認めた者とかを委嘱基準として定款や規程に定めています。 委嘱期間については、1年とするのが通常で、ただし、再任を妨げない旨定めるのが一般的です。
待遇については、通常は役員待遇としています。勤務は常勤の場合と非常勤の場合があり、一般的にいって常勤の場合は有給ですが、非常勤相談役は有給または無給の場合が定められています。
取締役会長、社長などが引退後に経営上の諮問を受けるために相談役に選ばれる例が少くありません。従来は、取締役社長、会長が取締役退任後に相談役となる例がほとんどですが、最近では、会長、社長の地位を退いた後に、取締役のままで選任される例が増加しています。これらの取締役は業務執行取締役ではありませんから、通常は非常勤となります。そして、必要に応じて社長の諮問に応ずるのが普通です。このような相談役は、社長を退任した者や、すでに会長を退任した者に対する待遇措置として設けられるのが普通ですが、相談役に対して支給される金額も一定していないのが実情です。
それ以外の選任されるケースとして、将来の役員としてのポストの空くまで、あるいはそれを決める株主総会までの暫定的な期間に相談役として選任することがあります。通常の相談役は実際の権限や影響力は何もありませんが、このように選ばれた特殊の相談役の影響力や権限は実際的に大きい場合が考えられます。したがって、このような地位の相談役の選任や権限については取締役会で取り決めておくのが望ましいといえます。
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